新型コロナウイルスについてわかってきたこと その3:診断方法について

現在のところ、PCR検査が世界共通のゴールドスタンダードとされています。
とはいえPCR検査も決して万能な検査ではないのですが、残念ながらほかに優れた検査法がないのです。

COVID-19検査の適応となる集団



①PCR法(ほぼLAMP法も同精度)

・PCRは有症状、無症状ともに保険で検査可能

・各検体の陽性率は気管支洗浄93%>喀痰72%>鼻咽頭スワブ63%>咽頭スワブ32%>便29%>血液1%
基本的にウイルス量は下気道>上気道

・もっとも偽陰性率が低いのは感染から8日目(発症から2~3日目)で20%とされている
感染から5日目(およそ発症日前後)では偽陰性率38%と高い→濃厚接触者など検査前確率の高い集団では繰り返し検査が必要

・検査時間は数時間(LAMP法の法が短時間)

・唾液検体でも可(検査精度が下がるため検査1時間以内のうがいや飲食は控えたほうが良い)

②抗原検査(定性、定量がある、定量の方が高より感度)

・検出感度がPCRに劣る

・PCR検査に比し偽陽性率が高い
検査前確率の低い集団に行うと多数の偽陽性者が出てしまう

・抗原検査は迅速かつ簡便に検査できるため、僻地や離島での検査に向いている

・抗原検査陽性も保健所への報告義務あり

・抗原検査(定性)は有症状例のみ、発症から2~9日以内、鼻咽頭拭い液のみ(→インフルと同じ基準)
  ※発症後2~9日以内の有症状者の鼻咽頭拭い液で定性抗原検査陰性の場合、PCRを省略して陰性と診断可能

・抗原検査(定量)は無症状者も検査可能、唾液検体でも可

③抗体検査

・中和抗体価を測定する中和試験がもっとも信頼できる→手技が煩雑なため、研究目的に使用される

・商業用の抗体検査試薬はまだ国内で承認されていない(2021年2月時点)

抗体検査は急性期診断には利用できない

Q.PCRの問題点は?

・感度が低い
PCRといえど、その感度は過去の研究データから70%程度とされています(たとえば10人のコロナ感染者のうち中3人は見逃されてしまうということです)

・PCR陽性=現感染ではないということ
PCRの感度は非常に高く、ウイルスの死骸でも陽性となる、感染成立していないウイルスでも陽性となる

・検査に数時間を要する
検査機器は高額のため大病院以外は外部検査機関に検体の委託が必要
緊急を要する場合には検査結果を待たずにフルPPEで対応せざるを得ない

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この記事を書いた人

たけしのアバター たけし アラフォー外科医

40歳を過ぎ、人生に焦りを感じ始める
自分がすべきことを探求した結果、健康に関する情報発信を始める
妻の経営する弁当屋のホームページも担当

将来の夢は自分のクリニックをひらき元気な高齢者を増やすこと

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