疫学研究・医療統計・はやりの用語

目次

日本人の統計

障害未婚率(50歳まで結婚歴ない人のこと) 2020年 国税調査
男性28.3% 女性17.8%
→子どもを養うために貯金しなければと考える親もいるし、老後は子どもの介護を当てにしている親もいる

いずれにせよ、未婚の子ども(たいがい同居している)は親と共依存の関係に陥りやすい

外来診療のコツ

  • 1回の外来で行うアドバイスは優先度の高いもの1つのみ
  • 1回目からいろいろ説明しても、聞く耳ができていない→複数回受診後に本題に入る
  • 医師患者間にも『人を動かす』の人を扱う基本技術を利用する
    • 人を批判したり非難したり文句を言ってはいけない
    • 素直な真心からの賛辞を贈る
    • 相手の中に強い欲求を呼び起こす
  • 訪問診療では、多職種の介入(訪問看護、訪問介護、ケアマネ、など)が必要で情報共有や連携がより重要
  • 1度で信用は得られない→せめて次回の外来受診だけでも取り付ければ次第と協働の精神が働きだす

診療報酬

入院(DPC病院)での注意事項

  • 退院処方は算定可能(60日分などの長期処方も可能)だが、院内在庫との相談は必要
    • 退院当日分も算定可能
    • 転院の場合には算定できないので最短期間にしてもらう
    • 投与日数に関する規定はとくにない

入院での加算

  • せん妄ハイリスクケア加算(100点):
    急性期医療を担う保険医療機関の一般病棟において、すべての入院患者に対してせん妄のリスク因子の確認を行い、ハイリスク患者に対し、薬物を使用せずに、「せん妄対策」を実施した場合に算定できるもの。令和2年度診療報酬改定において、新たに評価された。

手術・麻酔での加算

  • K931 超音波凝固切開装置等加算3,000点
    胸腔鏡下若しくは腹腔鏡下による手術、悪性腫瘍等に係る手術又はバセドウ甲状 腺全摘(亜全摘)術(両葉)に当たって、超音波凝固切開装置等を使用した場合に算定する。
  • K936 自動縫合器加算2,500点
    使用個数×2,500点の加算が取れる(術式により上限あり)
  • K936-2 自動吻合器加算5,500点
  • K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側)22,960点

外来診療での注意事項

  • 外来処方の日数制限はH14年に撤廃された、制度上は1年間の超長期処方も可能だが実臨床では90日分まで査定される可能性が高い
    処方の日数制限があるのは「新薬」と「医療用麻薬」「向精神薬」の3つ
    発売から1年未満の新薬は、14日分まで
    医療用麻薬、向精神薬は、種類によって、14日分、30日分、90日分まで
    睡眠薬のほとんど、麻薬のほとんどは30日まで
  • 湿布薬は70枚まで投薬可能だったが、 2022年4月からは【1処方につき63枚】までに縮小
    • 1月に2度処方して合計63枚を超えることは可能らしい
  • 30日を超える投与をする場合は、以下の2点を遵守する必要がある
    ①病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認する
    ②病状が変化した際の対応方法及び当該保険医療機関の連絡先を患者に周知する

外来での診察料・加算

  • 診察料=基本診療料(基本料)+指導管理料(オプション)
  • 基本診療料=初診料(288点)または再診料(73~74点)、初診料や再診料は、病気の種類には関係ない一律の基本料金
  • 初診料の加算
     【時間内】
    • 乳幼児加算(6歳未満)+75点
    • 夜間・早朝等加算(診療所のみ) +50点
      【時間外】
    • 時間外加算、6歳以上 +85点;6歳未満 +200点
    • 休日加算、6歳以上 +250点;6歳未満 +365点
    • 深夜加算、6歳以上 +480点;6歳未満 +695点
  • 再診料にも同様の時間帯加算あり
  • 実質の再診料=再診料+外来管理加算(52点:診療所と200床未満の病院のみ)
  • 患者が紹介状を持たずに200床以上の病院を受診したときは、初診時7000円、再診時3000円の徴収が義務
  • 指導管理料:病気ごとの診察料金で、それぞれの病気の状態に応じて細分化されており技術料ともいえる
    • 特定疾患療養管理料:診療所は225点、100床未満の小規模病院は147点、100床以上200床未満の中規模病院は87点、月に2回まで算定可能
      特定疾患は、次のような内科の病気が対象になります。(結核、がん、甲状腺機能異常、糖尿病、高脂血症、高血圧、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、脳梗塞、慢性気管支炎、喘息、胃・十二指腸潰瘍、慢性肝炎、慢性膵炎など)
    • 生活習慣病管理料(月1回):脂質異常症(高脂血症)570点、高血圧 620点、糖尿病 720点
      脂質異常症(高脂血症)、高血圧、糖尿病の患者さんに対して、長期的な計画をたて、それに基づいて運動や食事療法を指導したときの料金
    • 悪性腫瘍特異物質治療管理料(月1回):1項目 360点、2項目以上 400点
      悪性腫瘍の患者に、腫瘍マーカーの検査を行い、治療や指導をしたとき
    • 診療情報提供料:250点
      医療機関(診療所や病院)が、患者のデータや治療状況などを文書にして、別の医療機関に紹介したときの紹介料です。セカンドオピニオンのために患者情報を詳細に記載した文書を作成する場合は、500点です。
  • 処置料
    • J000 創傷処置
      1 100平方センチメートル未満52点
      2 100平方センチメートル以上500平方センチメートル未満60点
      3 500平方センチメートル以上3,000平方センチメートル未満90点
      4 3,000平方センチメートル以上6,000平方センチメートル未満160点
      5 6,000平方センチメートル以上275点
    • J001 熱傷処置
      創傷処置よりは割がいいが135点~
    • J008 胸腔穿刺(洗浄、注入及び排液を含む。)220点
    • J010 腹腔穿刺(人工気腹、洗浄、注入及び排液を含む。)230点
    • J022 高位浣腸、高圧浣腸、洗腸65点
    • J022-2 摘便100点
    • J034 イレウス用ロングチューブ挿入法730点
       2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する
    • J036 非還納性ヘルニア徒手整復法290点
    • J044 救命のための気管内挿管500点
    • D006-12 EGFR遺伝子検査(血 漿 )2,100点
    • D313 大腸内視鏡検査 上行結腸及び盲腸まで1,550点(回腸まで入れて1,700点)
    • D308 胃・十二指腸ファイバースコピー1,140点
    • D400 血液採取(1日につき)1 静脈37点
    • N006 病理診断料
      1 組織診断料520点
      2 細胞診断料200点

在宅医療
オンライン診療

  • 手技量・加算
    • 迅速検査
    • 初診料
    • 再診料
    • 採血料
    • J036 非還納性ヘルニア徒手整復法290点
    • 大腸ポリペクトミー
    • 病理診断
    • 狭帯域光強調加算200点(ポリペク時はIEE施行しても請求できない)
    • ポリペク時の粘膜点墨法加算として60点
    • 病理組織顕微鏡検査(T-M)として1,010点、病理診断料として150点

緩和医療

  • 1日当たり5,107点の入院費(手術患者のDPCI期でも3000点/日であることからしても緩和治療は高点数)
  • 病院としては収益が多い部門
  • 緩和ケア病棟はDPC制度の対象外
  • 61日以上では1日当たりの算定額が大きく下がるので入院対象となるのは予後60日以内
緩和ケア病棟入院料1の施設基準

 主として悪性腫瘍の患者様又は後天性免疫不全症候群に罹患している患者様を入院させ、緩和ケアを一般病棟の病棟単位で行うものであること。

ロ 当該病棟において、1日に看護を行う看護師の数は、入院患者数が7又はその端数を増すごとに1以上であること。ただし、1日に看護を行う看護師が本文に規定する数に相当する数以上である場合には、当該病棟における夜勤を行う看護師の数は、本文の規定にかかわらず、2以上であることとする。

 当該療養を行うにつき十分な体制が整備されていること。

 当該体制において、緩和ケアに関する研修を受けた医師が配置されていること( 当該病棟において緩和ケア病棟入院料を算定する悪性腫瘍の患者に対して緩和ケアを行う場合に限る。)。

 当該療養を行うにつき十分な構造設備を有していること。

 当該病棟における患者の入退棟を判定する体制がとられていること。

 健康保険法第六十三条第二項第五号及び高齢者医療確保法第六十四条第二項第五号に規定する選定療養としての特別の療養環境の提供に係る病室が適切な割合であること。

 がん診療の拠点となる病院若しくは公益財団法人日本医療機能評価機構等が行う医療機能評価を受けている病院又はこれらに準ずる病院であること。

 連携する保険医療機関の医師・看護師等に対して研修を実施していること。

ヌ 次のいずれかに該当すること。

  1. 入院を希望する患者様の速やかな受入れにつき十分な体制を有すること。
  2. 在宅における緩和ケアの提供について、相当の実績を有していること。

ル 次のいずれかに係る届出を行っていること。

  1. 緩和ケア診療加算
  2. 外来緩和ケア管理料
  3. 在宅がん医療総合診療料

在宅医療・訪問診療

診療文書

高齢者医療

  • 高齢者総合的機能評価CGA

医療統計

  • 感度と特異度
  • 尤度比:ゆうどとは「なりやすさ」、つまりなりやすさの比
    • 陽性尤度比=感度/(1-特異度)=真陽性の割合/偽陽性の割合、大きいほどその検査のインパクト大ということ
  • リスク、オッズ、ハザードについて
    • リスクは母集団のうち、何割が発症したか→○○%として表現できる
    • リスク比は〇〇倍リスクが上昇する、という解釈ができるが、オッズ比はそのように解釈することができない
      リスク比は母集団数が必要で前向き研究やRCTでしか使えない
    • オッズは発症者のうち暴露+が暴露-の何倍多いかを示す指標
      オッズ比は、以下の3つの理由があるため、臨床研究でよく使われる
    1. ロジスティック回帰分析との相性が良い
    2. どんな研究にも使える
    3. 割合(p)が小さければ、オッズ比はリスク比の近似になっている
    4. ハザード:「単位時間あたりのイベント発生率」、イベント発生までの時間が重要で生存時間解析で使用する
リスク比・オッズ比とハザード比の違い

リスク比とオッズ比は「イベントの有無」だけを情報として扱っているのに対して、ハザード比はイベントの有無と「期間(時間)」を考慮している。上記の違いがあることだけを理解しておけば、結果の見方などは両者に違いはなく、比が1であれば群間に差がないし、1から遠ければ群間差がある、という結果の見方は、ハザード比でもリスク比でもオッズ比でも同じ。

はやりの用語

リテラシー(Literacy)

「ある特定分野に関する知識を理解して、活用する能力」
ヘルスリテラシー、金融リテラシー、など

トップダウン

経営陣などの企業における上層部が意思決定を行い、現場の従業員に展開・指示を行う意思決定スタイル

ボトムアップ

現場の従業員に裁量・意思決定権を与え、現場から上がってきた提案を経営陣などの企業における上層部が承認する意思決定スタイル

パラドックス(paradox)

正しく見える前提や論理から,納得しがたい結論に行きついてしまう問題
逆説、背理、逆理とも

レジリエンス(resilience)

「回復力」「復元力」「耐久力」「再起力」「弾力」などと訳される言葉で、「困難をしなやかに乗り越え回復する力(精神的回復力)」として、ビジネスの現場でも注目が集まっています

アルゴリズム(algorithm)

が定まっている「計算可能」問題に対して、そのを正しく求める手続きをさす
医学会においては、成人の心停止アルゴリズムなど、全体的な診療の流れをフローチャート (flowchart)で示すことが多い

プロトコル(protocol)

複数の者が対象となる事項を確実に実行するための手順
医学会においては、化学療法のレジメンなど、定型化したものの流れをさすことが多い

スマホ脳

 

  • スマホは1日で1600回(=10分に1回)触る、2-3時間/日使用している
  • スマホ中毒になる理由:ドーパミンが出る(=本来は生存のための機能で獲物を探すときや天敵から逃げるなどに有用であったが現代は賭博やガチャ、メールやいいねなどの期待に影響している)から
  • 人間の脳は1個の作業しかできない(=マルチタスクはできない)
  • テーブルの上にスマホを置かない!置くだけで集中も会話も機能しなくなる
  • SNSを利用する方が孤独を感じる、SNSの普及で不必要な劣等感を感じやすくなるようになった
  • SNS普及によって精神疾患はまったく減っていない→スマホが生活を便利にはするが豊かにするわけではない
  • 不眠にもなる
  • 運動すると集中力が増す(=先祖は狩りや逃走で集中力が増していた)、1週間に2時間程度
  • https://evineko.com/

医学一般

消毒液

塩化ベンザルコニウム(ザルコニン®など)

尿道留置カテーテル交換時にも使用される

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの一般細菌や、カンジダなどの酵母様真菌に有効である

本薬に対する粘膜の耐容性は比較的良いため、0.02~0.05%液が腟・外陰部に、0.01~0.025%液が手術野(粘膜)や熱傷部位に用いられる

ポビドンヨードは、正常皮膚、粘膜および創傷などの消毒に用いられる。 また、洗浄剤含有のポビドンヨード(イオダインスクラブなど)は手指消毒に、エタノール含有のポビドンヨード(イソジン®フィールド)は手術野やカテーテル刺入部位などの消毒に用いられる。

微生物の消毒薬抵抗性の強さ、および消毒薬の抗菌スペクトル

栄養補助食品、特定保健用食品、サプリメントなどの違い

「サプリメント」「栄養補助食品」「栄養強化食品」「健康飲料」などの名称にはどれも法令上の定義はなく、国によって制度化されている食品は保健機能食品のみで、保健機能食品は長らく「特定保健用食品」及び「栄養機能食品」の2つだけだったが、2015年の食品表示法の施行により、食品の機能を表示できる食品として機能性表示食品が加わった

特定保健用食品(特保)

からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品
食品ごとに食品の有効性や安全性について国の審査を受け、消費者庁の許可を得なければならない(健康増進法第43条第1項)
有効性の証明として、査読付きの研究雑誌に掲載されることが条件で、関与成分の含有量の分析試験も行われる
保健の用途の表示とは「お腹の調子を整える」、「コレステロールの吸収を抑える」、「食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」等の表示が挙げられる
令和5年1月現在、1061品目の商品が登録されている(消費者庁ホームページ)

栄養機能食品

人の生命・健康の維持に必要な特定の栄養素の補給のために利用されることを目的とした食品で、科学的根拠が充分にある栄養機能について表示できる
栄養素の名称と機能だけでなく、「日本人の食事摂取基準」に基づいた一日の摂取目安量(上限・下限量)や摂取上の注意事項も表示する義務がある
許可や届け等なくして、食品に含まれている栄養成分の栄養機能を表示できる
現在規格基準が定められている栄養素は下記のビタミンとミネラル、及びn-3系脂肪酸です。

機能性表示食品

機能性を分かりやすく表示した食品の選択肢を増やすことを目的として2015年に「機能性表示食品」が加わった
特定保健用食品と同様に保健機能を表示することができる食品だが、消費者庁長官の個別の許可を受けずに事業者の責任で保健機能を表示できる
その保健機能の有効性の科学的根拠や安全性などの情報を事業者が消費者庁へ「届出」を行うことが決められている

特定保健用食品、栄養機能食品、及び機能性表示食品はいずれも医薬品ではなく、疾病の治療・治癒・予防等を目的として摂取するものではない。

薬事法および医薬品医療機器等法による「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」の違い

医薬品→薬局またはドラッグストアのみで買えるもの

病気の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされているもの
厚生労働大臣による製造・販売に関する承認を得る必要がある
「医薬品」は、効能・効果を明確にする必要がある
「医療用医薬品」には、原則として国が定めた薬価があり、健康保険の給付対象となる
「一般用医薬品」は、薬店・ドラッグストアにおいて薬剤師等の助言を得て自らの判断で購入可能

医薬部外品→コンビニで買えるもの

積極的に治療に用いられるものではなく、吐き気等の不快感、あせも、ただれ等の防止を目的として使用され、目的に対する有効成分が含有されている商品
人体に対する作用が緩和なもの
医薬品と違い、薬店・ドラッグストア以外でも購入可能
「医薬部外品」や「化粧品」では、明確な使用法を規定する義務がない
「医薬部外品」が表示できる「効能・効果」は、厚生労働大臣が認めた「緩和な作用」(例えば、腸に対する効果では、「医薬部外品」は単に腸の調子を整えることを表示できますが、「医薬品」で認められている下痢を止めるや便秘を解消するなどについては、表示することができません。)に限られる

例:エビオス錠、新ビオフェルミンS、ユンケル、リポビタン、ウコンノチカラ、メガシャキ、メンズケシミン、シャンプー、入浴剤、歯磨き粉など

化粧品

美しく見せる、頭皮や毛髪を清浄にする、などを目的としたもので、医薬品的な「効能・効果」は認められていない

電気メス

  • 電気メス=高周波装置=300kHz~5MHz(30万~500万回の波/秒)の周波数の交流電流を利用した装置(家庭用は50-60Hz)
  • 高周波を使う理由は、高周波電流は生体内を流れやすく、感電しにくい(=ビリビリ感じない、筋肉の収集区や不整脈を起こしにくい)特性を持つから
  • 高周波は術者にも流れやすい性質をあわせ持つ
  • 電気メスの原理は、メス先端と組織との間でカミナリ(放電)が起きていることと同じで、組織に衝突した電子が放電熱を生じ凝固・切開させる
  • 切開するか、凝固するかの違いは組織の温度をコントロールすることで操作している
    低温(100~180度)→ソフト凝固、こんがり止血
    中温(180~300度)→いわゆる凝固モード
    高温(300度以上)→一瞬で組織が炭化し、切開がメインとなる
  • 切開モード:連続的に高周波電流が流入した部分の細胞内の水は、一瞬にしてジュール熱により100℃以上になり、沸騰して蒸気になり吹き飛ぶ、これを蒸気爆発といい、細胞と細胞をつないでいた細胞が吹き飛んで無くなってしまうことで切開という作用がおこる
  • 凝固モード:断続波でほどよい温度に調整
  •  スプレー凝固:電圧の波形は休み時間が最長の断続波であり3,500~4,300Vの高電圧でメス先電極を組織に接触させずに、放電を利用して表層の止血が可能
  • 対極板は骨のない、極力広いところに貼る、毛はそる、コードは皮膚と接触させない(熱傷のリスク)
  • 電気メスでガーゼが発火することもある
  • バイポーラー:1本のメス先から高周波電流を流し、反対側のメス先から回収している(導線内には絶縁された2本の回路が入っている)、対極板は不要だが、モードは基本的に凝固のみ

エナジーデバイス

  • オリンパス
    • サンダービート:超音波凝固+バイポーラー
    • ソニックビート:超音波凝固切開装置のみ(当社従来品SonoSurg X を上回る迅速な切開と安定した止血力)

高周波電源装置の種類

  • オリンパス 高周波装置(ESG-100)
  • オリンパス ESG-300(ハイエンドモデル)
    →内視鏡用に開発したシンプルなデバイス(端子も1個ずつ、モードも少ない)
  • オリンパス高周波焼灼電源装置 ESG-400
    →手術用の高周波ジェネレーター
     USG-400とセットにすることでサンダービートが使用可能となる
通常はESGとUSGがセットで乗っかっている
  • ERBE(ドイツ) VIO300D/APC2(生産終了)
    1台で手術も内視鏡治療も対応可能
    内視鏡治療には自社オリジナルのエンドカットモード(ソフト凝固と切開を交互に繰り返す)がある
  • ERBE(ドイツ) VIO3
    1台で手術も内視鏡もできる

超音波ドプラ法

ドップラー効果とは、波(音波や光波や電波など)の発生源(音源・光源など)と観測者との相対的な速度によって、波の周波数が異なって観測される現象のことをいう。波の発生源が近付く場合には波の振動が詰められて周波数が高くなり、逆に遠ざかる場合は振動が伸ばされて周波数は低くなる。超音波ドプラ法では、プローブ内の振動子で送受信した超音波周波数の偏移を解析し、カラー表示やパワー表示、スペクトラム表示等で画像化する。血行に対して真横から送受信した超音波反射信号に関してはドップラー効果が発生しないことから、できる限り平行に入射することが大切である。

カラードプラ法(CDI:color doppler imaging)

カラードプラ法(CDI:color doppler imaging)は、生体内血行動態に色を付けBモード画像上に重ね合わせながらリアルタイムで表示する方法である。パルスドプラや連続波ドプラが、ごく狭い範囲の血流情報を定量的に表示するのに対し、カラードプラ法では2次元断層面上の広範囲に渡る血流情報が得られる。また、血流情報を波形ではなく色として表示するため視覚的に捕らえやすいという利点がある。カラー表示には速度表示の他、速度-分散表示もあり、検査対象領域により様々な表示が可能である。

パワードプラ法(PDI:power doppler imaging)

パワードプラではドップラー効果で生じるドプラシフトを平均流速で表示するカラードプラとは異なり、信号強度を表示する。従って血流方向の色分けはできないが、低速血流や超音波ビームとの角度が大きいようなカラードプラでは感度の不足となる部位を感度良く表示できる。

パルスドプラ法(PWD:pulsed wave doppler)

パルスドプラ法(PWD:pulsed wave doppler)は、目的とする部位にサンプルゲートを設け、そのサンプリング位置からのドプラシフトを取り出して解析・波形表示する方法である。したがってパルスドプラ法(PWD:pulsed wave doppler)は距離分解能を有するが、その原理上ドプラシフト解析をパルス繰返し周波数に依存するために高速な動きを捉える事が出来ない。測定限界を超えるとエイリアシングが発生する。

連続波ドプラ法(CWD:continuous wave doppler)

連続波ドプラ法(CWD:continuous wave doppler)は、連続的な超音波ビームを使用し、その超音波ビーム上から反射された信号のドプラシフトを解析・波形表示する方法である。ドプラシフト解析はFFTを用い、リアルタイムで画面上に血流波形を表示できる。連続波ドプラ法には距離分解能はないが、非常に高速な動きを捉える事が出来ることから、循環器領域で使用されるケースが多い。

凝固線溶系

FDPとDダイマー、一次線溶と2次線溶

  • 血管が損傷して出血すると血小板や凝固因子が関与し、損傷部分に安定化フィブリン(血栓)が形成され止血される
  • 血管が修復され止血していた血栓が不要になると、血液の循環を維持するため線溶反応により血栓はプラスミンという酵素により分解される
  • フィブリノゲンが分解(一次線溶)されたフィブリノゲン分解産物と安定化フィブリンが分解(二次線溶)されたフィブリン分解産物の総称をフィブリノゲン/フィブリン分解産物(fibrinogen/fibrin degradation products:FDP)、フィブリン分解産物の終末分解産物をDダイマーという
  • 一次線溶はフィブリン形成とは無関係に亢進する状態で、二次線溶はフィブリンの形成により二次的に起こる反応
  • Dダイマー高値は生体内にフィブリン血栓が存在し、二次線溶が亢進していることを意味する→数値の絶対値ではなくスクリーニングとして用いる
  • FDPは、生体内での線溶の亢進状態を知るスクリーニング的意味を持つ→FDPの増加は血管内での急激な線溶を意味し、血管内での血栓形成およびその溶解現象を反映するため、DICや血栓症の診断、血栓溶解療法時のモニタリングとして使用される

Dダイマーは安定化フィブリンの分解産物→血栓の存在を示す指標となる
DVT が疑われる症例に対しては D ダイマーを測定し、上昇がなければ(<0.5未満) DVT を否定できる
(感度とカットオフ値:3.0 μg/ml→感度91.7%,特異度 78.2%,偽陽性率 21.8%)

※FDPとDDの同日検査は100%査定される

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