精神疾患

目次

抗精神病薬の2剤以上の併用

基本的に抗精神病薬を2剤以上併用しない

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000140619.pdf

抗うつ薬と抗精神病薬の併用

うつ病の場合
抗うつ薬に非定型抗精神病薬を組み合わせて使う「増強療法」は、抗うつ薬の効果を高めることが知られており、抗うつ薬による適切な治療を行っても十分な効果が認められない場合、効果が期待できる治療法です。

統合失調症の場合
抗うつ薬を抗精神病薬に付加したランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)をまとめたTerevnikovらによる2015年のレビューでは,ミルタザピンとミアンセリンは陰性症状と認知症状に,また,三環系抗うつ薬のイミプラミンやセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin and norepinephrine reuptake inhibitor:SNRI)のデュロキセチンは抑うつ症状に効果を示しました。トラゾドンは薬剤性錐体外路症状を改善しました。他方,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)は効果を示しませんでした。

認知行動療法 CBT

認知行動療法センターがある https://cbt.ncnp.go.jp/contents/about.php

ストレスや不安などの問題を改善するために、考えや行動に働きかける心理療法です。うつ病やパニック障害、強迫症、不眠症、摂食障害、統合失調症などの治療に効果があります。一般的には、「認知」と「行動」が自分の意志でコントロールしやすいものと言われています。
その反対に、「感情」や「身体」は自分の意志でコントロールすることは難しいと言われています。「認知」や「行動」も簡単に変えられるというわけではなく、はじめは難しく感じるかと思います。しかし、「今はこういう風に考えているけど、他の考え方はないかな?」、「そんな気分じゃないけど、とりあえず起き上がって顔を洗ってみよう!」など、意識的に変えようと試みることは可能です。
そこで認知行動療法では、この「認知」や「行動」の幅を広げたり、変えていったりすることで、気分や身体を楽にして、ストレスとうまく付き合っていけるようになることを目指します。
このように、「認知」と「行動」にアプローチする心理療法であるため、“認知行動療法”という名前がついているわけです。

例として、“すれ違った友人に目をそらされた”という出来事を経験したAさんの場合を考えてみましょう。Aさんの頭の中には「嫌われているのかもしれない…」という悲観的な考えが浮かび(認知)、悲しくて不安な気持ちになりました(感情)。心臓がドキドキしたりお腹が痛くなったり…と体にも反応が出て(身体)、人目を避けて足早に家に帰り、布団に潜り込んで寝てしまいました(行動)。 …と、たとえばこのような形で4つの側面を整理します。

スキーマ自体に働きかける治療法は「スキーマ療法」と呼ばれていて、認知行動療法とはまた別の治療法となります。

うつ病

世界で3億人、年間80万人が自殺
日本の生涯有病率は5.7%
(うつ病看護ガイドラインより)
発症してから6ヶ月~2年のうちに病院に受診するのは3割程度しかいない
25%は慢性化もしくは再発する

ガイドライン
日本うつ病学会 うつ病看護ガイドライン
日本うつ病学会治療ガイドライン、高齢者のうつ病治療ガイドライン

PHQによるスクリーニング

PHQ はプライマリケア医が日常診療において遭遇する 8 種類の疾患の診断・評価ができるようになっている

PHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)

PHQ-9 は,DSM 診断基準の評価項目が含まれた 9 項目の質問である.PHQ-9 のスコア範囲は 0~27 点であり,10 点以上はうつ病の可能性を示唆している.症状評価は、「全くない=0点」「数日=1点」「半分以上=2点」「ほとんど毎日=3点」として総得点(0〜27点)を算出する。
0〜4点はなし、5〜9点は軽度、10〜14点は中等度、15〜19点は中等度〜重度、20〜27点は重度の症状レベルであると評価する。

PHQ-9のカットオフ値は10点とすると感度81.8%,特異度82.1%

PHQ-9 で「10 点以上」が大うつ病性障害が存在する可能性の閾値

PHQ-9のカットオフ値は10点とすると感度81.8%,特異度82.1%

PHQ-2(二質問法)

PHQ-2(二質問法)は,PHQ-9 の冒頭 2 項目からなる質問
最近 2 週間の「気分の沈み込み・抑うつ気分」と「興味の低下・消失」についてたずねる
口頭での確認が容易であり,はい/いいえまたは 0-3 のスケールで求めることができる
「はい」が 1 以上または 3 以上のスコアの場合,うつ病の可能性を示唆する

PHQ-2 の感度と特異度(95%CI)
カットオフポイントが 2 以上の場合は 0.91(0.88-0.94)と 0.67(0.64-0.71)
カットオフポイントが 3 以上の場合は 0.72(0.67-0.77)と 0.85(0.83-0.87)

PHQ-15

GAD-7 日本語版

HQの不安障害に関わる質問項目を抽出し、全般性不安障害(GAD)の簡易アセスメントツールとして別途の自己記入式質問票として開発したもの。症状評価は、「全くない=0点」「数日=1点」「半分以上=2点」「ほとんど毎日=3点」として総得点(0〜21点)を算出する。NICE ガイドラインにおいて、全般性不安障害のアセスメントとして推奨されている。0〜4点はなし、5〜9点は軽度、10〜14点は中等度、15〜21点は重度の症状レベルであると評価する。

専門医に紹介・併診が望ましい場合

高齢者のうつ病には2種類ある

高齢者のうつ病には、より若い年齢でうつ病を発症し、高齢になって再発した若年発症の高齢者のうつ病と高齢になってはじめてうつ病を発症した高齢発症の高齢者のうつ病がある。
高齢発症のうつ病では高率に大脳深部白質の血管病変を認めることが示されており、これが病態や病状に影響を与えることが示唆されている。こうした脳血管病変を伴ううつ病を「血管性うつ病(vasculardepression)」と呼ぶこともある(Alexopoulos et al,1997)。
若年発症のうつ病と比較して、高齢発症のうつ病はより慢性の経過をたどり、再燃率、身体疾患合併率、認知機能障害、死亡率などのアウトカムにおいて予後不良である(Ismail et al,2013)。

気分安定薬総論

第一選択→レクサプロ(有効性&安全性がともに高い)

うつ病の軽症例の薬物治療で使用頻度が高いのは
SSRI(セロトニンのみ)、SNRI(セロトニンとノルアドレナリン)、NaSSA(セロトニンとノルアドレナリン)S-RIM(セロトニン再取り込み阻害作用・セロトニン受容体調節作用)

抗うつ剤の効果は遅発性
効果発現まで2週間~1ヶ月程度はかかる事が多く、副作用が先行しても焦らず効果を待つ
即効性を求める場合はリフレックス!→不眠にも効く

プライマリケアでは三環系抗うつ薬は使用しない

メカニズムが異なるため、SSRIやSNRIとNaSSAを併用する治療法も効果的
うつ病治療もエビデンスに基づいた2剤併用療法の時代
カリフォルニアロケット療法→SNRI(サインバルタやイフェクサー)とNaSSA(リフレックス)は相性が良い

禁忌
パーキンソン病のMAO阻害薬との併用禁忌が多い
閉塞隅角緑内障に禁忌多い

副作用
QT延長→TCA(三環系抗うつ剤)、エスシタロプラム(レクサプロ)、イフェクサーSR、ジェイゾロフト
消化管出血→SSRI

併用注意
肝CYPの薬剤相互作用の度合い→フルボキサミン、パロキセチンで強い、デュロキセチン、セルトラリンで中等度、エスシタロプラム、ミルタザピン、ベンラファキシンで弱い

セロトニンが減ると不安や落ち込みが強くなり、ノルアドレナリンが減ると意欲や気力が低下し、ドーパミンが減ると興味や楽しい感情を失うhttps://cocoromi-mental.jp/cocoromi-ms/psychiatry-medicine/antidepressant/about-antidepressant/
12種類の抗うつ剤の有効性と安全性を比較した報告(MANGA study、Lancet,2009)
https://cocoromi-mental.jp/cocoromi-ms/psychiatry-medicine/antidepressant/about-antidepressant/

最も有効→リフレックス(ミルタザピン)=NaSSA
最も安全→レクサプロ
(エスシタロプラム)=SSRI、ジェイゾロフト(セルトラリン)=SSRI
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/27/2/27_154/_pdf
公益社団法人 福岡県薬剤師会
https://gifu-min.jp/midori/document/576/kouutujissenn.pdfS-RIM
https://gifu-min.jp/midori/document/576/kouutujissenn.pdf

気分安定薬各論

SSRI

  • セロトニン不足の関わる不安や落ち込みには優れた効果を発揮することが多い
  • 意欲や気力に関わるノルアドレナリンにはほとんど作用せず、そちらの問題を改善する力は弱い
  • パニック障害 社交不安障害 強迫性障害 PTSD(心的外傷後ストレス障害) PMS(月経前症候群)・PMDD(月経前気分障害)は、SSRIが圧倒的に効果がある
  • うつ病の場合、少し持ち上げ作用が強すぎるということで、持ち上がって、イライラ、焦燥感とか、あせりというのが出てきて、衝動的に自殺するということがあるかもしれない
  • 副作用:
    • 飲み始めの頃に吐き気や胃の痛み、下痢などが見られることがある
    • 不眠や眠気といった睡眠や、性機能障害がおこることもある
    • 多くの場合は飲み続けるうちに体が慣れ、副作用は軽減していくが、性機能障害は続くことが多い
    • 飲み忘れたり急に中止したりすると、離脱症状がおこりやすいので注意が必要
    • 上部消化管出血の副作用あり(とくにNSAIDSや抗血小板薬との併用例)
  • 処方例:
    • レクサプロ(エスシタロプラム):
    • ジェイゾロフト(セルトラリン塩酸塩):
    • パキシル(パロキセチン):
    • デプロメール(フルボキサミンマレイン酸):

ルボックス、デプロメール(フルボキサミン)1999年~

1日2回服用が必要
CYP代謝→併用禁としてラメルテオン、チザニジン、MAO阻害薬

離脱症候群がみられるが、パキシルほど重症ではない

パキシルCR(パロキセチン)2000年~

CR錠は1日1回服用
離脱症候群が最も起きやすいSSRI
パキシルは、薬を増やすと血中濃度がぐんと上がってしまいます。このため、減量の時の血中濃度の落差が大きくなってしまう

ジェイゾロフト(セルトラリン)2006年~

◎レクサプロ(エスシタロプラム)2011年~

1日1回(半減期24.6~27.7時間)
QT延長症候群がおきうる
離脱症状は少ないが、長期投与していた場合は徐々に減量することが必要
初期量(=10mg)から十分な治療効果が期待できる

適応症

  • うつ病・うつ状態
  • 社会不安障害
  • 強迫性障害(適応外使用)
  • 外傷後ストレス障害(PTSD)(適応外使用)
  • 月経前不快気分障害(PMDD)(適応外使用)
  • メリット:
    • 1日1回
    • 相互作用が少ない
    • SSRIの中でも最もセロトニン選択性が高い→副作用がSSRI中で最もマイルド
  • デメリット:胃腸障害が多い、QT延長症候群
  • 副作用:
    • 傾眠(22.6%)→不眠も傾眠もどちらも起こり得る
    • 悪心(20.7%)
    • 浮動性めまい(8.5%)
    • 頭痛(8.2%)
    • 口渇(6.3%)

SSRI副作用対策①嘔気と下痢

セロトニン→嘔吐、下痢などの胃腸障害、性機能障害

抗うつ剤による吐き気や下痢は、飲み始めが一番しんどいです。ほとんどの方では、身体が薬に慣れていくにつれて自然と楽になっていきます。お薬が身体に慣れてくるには、1~2週間の時間がかかります。何とかここを乗り超えれば、自然と吐き気が落ち着きます。一度身体が慣れてしまえば、お薬を増量したときも、最初ほどの吐き気は感じません。しかし、ガマンできないほど吐き気が辛く、生活に支障があるようでしたら、他の対処法を考えていきましょう。

  • 様子をみる→1~2週間で慣れてくる
  • 胃薬を使う→ガスモチン、ナウゼリン、PPI、ムコスタなど
  • 回数を分けて服用する
  • 増量のペースを緩やかにする
  • 他の抗うつ剤に切り替える→吐き気の副作用が少ないNaSSA(リフレックス/レメロン)に切り替えていくことも検討

副作用対策②性機能障害・性欲低下

SSRIの離脱症状

「めまい・頭痛・吐き気・だるさ・しびれ・耳鳴り」といった身体の症状
「イライラ・不安・不眠・ソワソワ感」といった精神症状
「シャンビリ感」といって、金属音のようなシャンシャンという耳鳴りがし、電気が流れたようにビリビリとしびれた感じがすることがある
こうした脳に衝撃を受けるような感覚は、SSRI(ジェイゾロフト・レクサプロ・パキシル・デプロメールなど)の離脱症状によくみられる
お薬によっても離脱症状の内容に違いがあります。SSRIに特徴的な離脱症状としては、イライラ感といった攻撃性や、シャンビリ感やしびれといった感覚異常になる

最も離脱症状を起こしやすいのはパキシル
ジェイゾロフトやレクサプロなどは比較的頻度は少ない(SNRIではサインバルタで離脱症状が起きやすい)
抗うつ薬の中でもSSRIで離脱症状が起きやすい(SSRI離脱症候群)
急激なセロトニンの減少に伴う副作用と考えられる
内服継続4週間をすぎると、離脱症状が起こる可能性がある

SNRI

ノルアドレナリン上昇による躁転がある(賦活症候群)
離脱症状が多い
増量時には20→30→40mgのほうがよい

  • 薬剤ごとにSNI、SNIの優位度が異なる
    • デュロキセチン(サインバルタ)はSRI>NRI
    • ミルナシプラン(トレドミン)はNRI>SRI
    • ベンラファキシン(イフェクサーSR)は低用量でSRI、高用量ではNRIが優位
    • 副作用:
      • 不眠や便秘、尿閉や口渇といった副作用がSSRIよりも増える
      • 体重増加や眠気はSSRIよりやや軽減

ノルアドレナリンを増加させることでのデメリットもあります。一番懸念されるのは、賦活症候群のリスクが高まることです。ノルアドレナリンを増加させるお薬を使うと、気分を高揚させて躁転させてしまう、不安や焦燥感が急激に強まって自殺衝動を高めてしまうことがありうる。

◎サインバルタ(デュロキセチン)

40mgで治療効果が出る、分1あさ

◎イフェクサー(ベンラファキシン)

少量でSSRI、用量を増やすとSNRIとしての効果が得られる
75mgで治療効果が得られる

NaSSA=ミルタザピンのみ

◎NaSSA:ミルタザピン(レメロン、リフレックス)
 15mgの半錠(7.5mg)から開始する(眠気で離脱しないように)
 リフレックスの眠気は2~3日をピークに、1~2週間ほどで慣れていくことが多い
 鎮静系抗うつ薬と言われている

  • 新しいタイプの抗うつ剤の中で、もっとも効果が強い
    • セロトニンとノルアドレナリンの効果+抗ヒスタミン作用が強いことが特徴
    • SSRI/SNRIで問題だった①作用発現までに時間がかかる、②セロトニン受容体刺激による悪心・嘔吐、下痢などの副作用対策として創薬された作用機序の異なる薬
    • SSRI・SNRIと違う機序(α2受容体の阻害作用とα1受容体の刺激作用)でセロトニン・ノルアドレナリンを増やしていく
    • 鎮静作用が強く、睡眠効果が期待される
    • 四環系抗うつ薬に分離されるテトラミドが改良された薬
    • 用法用量:
      • 1日1回、1回1~2錠を就寝前に服用が基本(睡眠作用あり)
      • 用法の半分の7.5mgから始めていく、2週間ごとに7.5mg→15mg→30mg→45mg
    • 副作用:
      • 82.7%に何らかの副作用が認められた
      • 傾眠(50%)、口渇(20.6%)、倦怠感(15.2%)、便秘(12.7%)、ALT増加(12.4%)
        いろいろな受容体に作用する為に、若干副作用は多い
      • 飲み始めに強い眠気と食欲増進の副作用が認められることが多く、不眠や食欲不振に悩む人にはそれがいい作用となることもある
      • 副作用の問題はあるが、速効性があり特に不眠を伴っている場合には有効度は高い

S-RIM(セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節)

  • セロトニンだけでなく、ノルアドレナリン、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミンの遊離を調節
  • ボルチオキセチン(トリンテリックス)
    • 他の抗うつ薬との比較で、うつ病の認知機能改善に有効である
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/27/2/27_154/_pdf

セロトニン症候群

不安、焦燥、興奮、錯乱、発汗、下痢、発熱、高血圧、固縮、頻脈、ミオクローヌス、自律神経不安定等があらわれることがある。セロトニン作用薬との併用時に発現する可能性が高くなるため、特に注意すること。異常が認められた場合には投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行うこと。

奇異反応

不安感や焦燥感を取り除くために服用したはずのベンゾジアゼピン系睡眠薬によって、逆にちょっとしたことに興奮しやすく、攻撃的な行動をとったりすることをいう。本来の薬の作用とは反対の症状が出現するので、きわめて稀にしか出現しないが、薬の量が多い場合や、アルコールと一緒に服用した時には起こりやすい。ベンゾジアゼピン系薬剤は,抗不安作用,鎮静・催眠作用,抗けいれん作用,筋弛緩作用を持つ有用な薬剤であるが,その副作用の1つに奇異反応がある。これは,抑うつ状態,精神病状態,敵意・攻撃性・興奮などが薬剤の投与で逆に出現・悪化するものである。奇異反応の頻度は0.2~0.7%と多くないが,葛藤の多い環境や,元々衝動コントロールが不良な患者,中枢神経系に脆弱性のある患者で出現しやすく,精神科を受診する患者はハイリスク群である。奇異反応と,本来の症状の悪化や元々の性格による反応との鑑別は困難だが,診断を誤ると攻撃性や興奮が遷延し暴力を生ずる可能性もあり,注意が必要である。ベンゾジゼピン系薬剤の投与で標的症状が逆に悪化する場合,投与薬剤の種類や用量と症状を経時的に振り返ることが必要である。奇異反応の治療は原因薬剤の中止が原則で,flumazenilや抗精神病薬の投与も有効である。成因には不明な点が多く,今後の研究が待たれる。

薬剤性躁転

  • うつ病でも抗うつ薬が効きすぎて躁転してしまうことがある
  • 双極性障害では躁転率が高い。双極性障害の患者さんに抗うつ薬を使うと、およそ20~40%で躁転すると報告されています。
  • 三環系抗うつ薬やSNRIは避ける→離脱症状が多いため躁転時に中止しにくい
  • 抗うつ薬は単剤にする
  • よくなったら早めに中止する

抗うつ薬のなかでもっとも躁転リスクが低いといわれているのが、NaSSAのリフレックス/レメロンです。SSRIの中ではジェイゾロフトやレクサプロが使われることがあります。離脱症状が少ないので、すぐに中止ができるためです。

自殺

警察庁の発表によると、平成21年の自殺者数は32,845人(男性23,472人、女性9,373人)、自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数)は25.8であり、平成21年度交通事故死者数の4,914人に比べても高い数字になっています。
また、自殺は国内の死因別の順位で第7位であり、主要7か国の中でも、男女とも日本が最も高い数字となっています。

自殺者の3.5人に1人がうつ病

統合失調症

抗精神病薬

受容体の遮断作用
セロトニン1A受容体作用:抗うつ効果・抗不安効果
セロトニン2A受容体遮断作用:睡眠が深くなる
セロトニン2C受容体遮断作用:体重増加
α1受容体遮断作用:ふらつき・立ちくらみ・射精障害
ヒスタミンH1受容体遮断作用:体重増加・眠気
ムスカリン受容体遮断作用:口渇・便秘・排尿困難

抗精神病薬総論

  • 抗精神病薬の作用機序での主要物質はドーパミン
  • ドーパミンは、日常的な快感を感じた時に脳内に分泌される脳内神経伝達物質
  • 統合失調症の急性期のように現実認識が低下し、幻覚、妄想が生じている状態になると、ドーパミン系ニューロンの活動異常が生じてしまうため、抗精神病薬でこれに対処する
  • 抗精神病薬の主な薬理作用は、ドーパミン系ニューロンの病的活動を抑制すること
  • 現在主流の抗精神病薬にはドーパミン系以外にも、セロトニン系ニューロンなどに作用するものがあり、意欲や気力の低下など、統合失調症の急性期を過ぎた後、出現しやすい症状に対しても効果がある
  • 抗精神病薬は、「定型抗精神病薬」と「非定型抗精神病薬」の2種類
  • 「定型抗精神病薬」は、第一世代の薬物群で、それ以降に開発された薬物群が「非定型抗精神病薬」で、現在はこちらが主流の治療薬
  • 治療薬は世代を経るごとに、脳内のターゲットによりピンポイントで作用するため、高い治療効果が得られると共に、副作用(薬剤性パーキンソニズムなど)は少なくなる
  • 2016年4月以降、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入薬すべてが、それぞれ2種類までしか処方できなくなりました(従来は、抗精神病薬、抗うつ薬は3種類までOKだった)
  • その後の平成30年度(2018年度)の改定で、抗不安薬と睡眠薬を合わせて4種類以上やベンゾジアゼピン系の薬の1年以上の投与にも制限がかかりました。

安全性の高い抗精神病薬(抗コリン作用など)

抗コリン作用がない薬剤→リスペリドン、ルーラン、シクレスト、エビリファイ、レキサルティ、セレネース

抗精神病薬各論

リスペリドン0.5mg=クエチアピン25mg=オランザピン1.25mg=クロルプロマジン50mg=チアプリド50mg=ロナセンテープ10mg=ヒルナミン50mg=ペロスピロン4mgは安全に使用可能

https://www.ginzataimei.com/knowledge/%E6%8A%97%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E7%97%85%E8%96%AC%E3%81%AE%E7%AD%89%E4%BE%A1%E6%8F%9B%E7%AE%97/

定型抗精神病薬

定型抗精神病薬→3系統に分類
副作用の特徴
 ブチロフェロン系はドパミンをブロックしすぎてしまうため、錐体外路症状や高プロラクチン血症
 フェノチアジン系は様々な受容体に作用するため、多岐にわたる副作用が出現する

フェノチアジン系→抗D2、5HT2A、5HT2C、α1、H1、M1遮断作用
→ドパミン以外もいろいろ遮断するため鎮静作用が強く(抗ヒスタミン作用)、様々な精神疾患における不安、緊張、衝動性などに用いられるが、α1受容体阻害作用(起立性低血圧)やパーキンソン様症状の副作用が特徴的。ブチロフェノン系薬剤はとくにパーキンソン症状など錐体外路系の副作用が現れやすく、パーキンソン病の患者に対して使用禁忌

ブチロフェノン系→セレネースは抗D2、5HT2A、α1遮断作用
→ドパミン遮断作用が強い(ブチッと遮断!)→幻覚や妄想への効果に優れているが、鎮静作用は弱め。α1受容体阻害作用や抗コリン作用、抗ヒスタミン作用は弱い一方で、錐体外路症状(EPS)が出やすいことや、長期服用で遅発性ジスキネジアの問題もある

ベンズアミド系
→他の定型抗精神病薬よりは副作用の出現が比較的少ない

制吐剤としてはブチロフェノンもフェノチアジンも使用するがエビデンスの高いデータなし
セロクエルは最もD2遮断作用が弱く制吐作用は期待できない

  • フェノチアジン系抗精神病薬(定型抗精神病薬)→鎮静作用が強い
    • ◎クロルプロマジン塩酸塩(ウインタミン、コントミン)→1950年に発売、ファーストインクラス
      クロルプロマジン塩酸塩・プロメタジン塩酸塩・フェノバルビタール配合(ベゲタミン-A、ベゲタミン-B)
    • 〇レボメプロマジン(ヒルナミン、レボトミン)
      →セロクエルで鎮静が足りないときに考慮するが、過鎮静になりやすく注意
    • フルフェナジン(フルメジン、フルデカシン)
    • ペルフェナジン(ピーゼットシ一、トリラホン)
    • プロクロルペラジン(ノバミン)→精神科領域では15~45㎎(3~9錠)分3
    • トリフロペラジンマレイン酸塩(トリフロペラジン)
    • プロペリシアジン(ニューレプチル)
  • ブチロフェノン系抗精神病薬(定型抗精神病薬)
    • ハロペリドール(セレネース)
    • ハロペリドールデカン酸エステル(ハロマンス、ネオペリドール)
    • ブロムペリドール(インプロメン)
    • ピパンペロン塩酸塩(プロピタン)
    • スピペロン(スピロピタン)
    • モペロン塩酸塩(ルバトレン)
    • チミペロン(トロペロン)
  • ベンザミド系抗精神病薬(定型抗精神病薬)
    • スルピリド(ドグマチール、アビリット、ミラドール)
    • スルトプリド塩酸塩(バルネチール)
    • チアプリド塩酸塩(グラマリール)→脳血管性認知症の陽性症状に保険適応
    • ネモナプリド(エミレース)

定型抗精神病薬

非定型抗精神病薬は、錐体外路系の副作用が定型抗精神病薬と比べて軽いが、用量依存性に頻度が増加する。
このほか傾眠、尿路系合併症などのリスクが知られており、さらに死亡率や脳血管障害のリスクが高まることが報告されている。

SDA(セロトニン・ドーパミン遮断薬

ドーパミンだけでなく、セロトニン系のニューロンの情報伝達をブロックすることで、幻覚妄想を抑え、かつEPSの出現が減少する

✕ペロスピロン(ルーラン)

糖尿病あり、腎不全あり、過鎮静は避けたい→定時ルーラン4~8mg、頓用4mg、1日3回まで
半減期が2.3時間と短い→1日3回投与が必須
抗幻覚妄想作用は強いが鎮静作用は弱い
食後投与が必要、1日3回投与が必要

リスペリドン(リスパダール、リスパダールコンスタ)

日中の不穏の第一選択薬(鎮静が弱い)
1日1回でもある程度有効(代謝物パリペリドンの半減期が6.6~13.8時間)
内服液の方が即効性あり、嚥下できなくても口腔粘膜から吸収される
水はOKだが、お茶系やコーラで飲むと効果減弱する
腎排泄のため腎機能に注意

✕リスパダールコンスタ

3週間ほどで血中濃度が立ち上がり、4~5週間(32.8~34.7日)がピークとなります。このため、3~4週間ほど、飲み薬と併用

適応:統合失調症
開始用量:25mg
最初の3週間(安全に切り替えるならば4週間)は飲み薬と併用
2週間に1回の注射
50mgまで減量可 ※12.5mgずつ増量

ブロナンセリン(ロナセン)

抗精神病薬唯一のテープ剤あり、鎮静弱く抗幻覚・制吐剤として使用する
効果発現までには数日を要する

多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)

ドーパミン、セロトニン以外にもヒスタミン、コリン、アドレナリン系のニューロンに作用することで、EPS減少のみならず、抗うつ効果などもある

オランザピンOD錠(ジプレキサ、ジプレキサザイディス) 

副作用:
 抗コリン作用が強い→せん妄、認知機能、尿閉、緑内障、便秘に注意が必要
幻覚、妄想、鎮静、制吐作用が強い、うつ病治療にも用いる
オランザピン1mg=クロルプロマジン40mg相当
抑うつ状態には2.5mg(統合失調症には5mg~)から開始するが、半量の1.25mg製剤がある
OD錠があるのがメリット
オランザピンOD→1.25mg、2.5mg、5mg、10mg、20mg錠

DM禁忌以外にも抗コリン作用あり、高齢者(特に男性)には注意が必要
化学療法に伴う悪心にも保険適応あり
強力な鎮静効果さらに一部傾眠も出現することから興奮や暴力行為、夜間の行動障害などに対して即効性を期待できる薬剤
半減期が非常に長く1日中効果が持続する
2.5mg錠を1錠夕食後あるいは就寝前の服薬を指示する(早急な鎮静を目的としない場合には細粒で1mgから開始)統合失調症の維持量としては1日1回10mg経口投与(1日量は20mgを超えないこと)
傾眠作用のために夜間の睡眠確保が得られる場合も多い
ジプレキサは体重増加を生じやすい

クエチアピンフマル酸塩(セロクエル)

副作用:
 抗コリン作用はあるが弱い→男性で用量増やす場合はクエチアピン(>オランザピン)が安心かも
 ふらつきはでやすい
DM禁忌
せん妄や不穏、不眠には1回25mgからスタート、1日2回まで
統合失調症→半減期6時間のため1日2又は3回より投与を開始し、通常、1日投与量は150〜600mg
クエチアピン1mg=クロルプロマジン1.5mg相当
鎮静作用が強く高齢者のBPSD対策に使用されることが多いが、セロクエルは幻覚妄想作用が弱い
クエチアピン→12.5mg、25mg、50mg、100mg、200mg錠

  • クロザピン(クロザリル)
  • ドーパミン受容体部分作動薬
    ドーパミン受容体の一部に作用することで、EPSの出現を抑える
    • アリピプラゾール(エビリファイ)
      幻覚・妄想に効果があるが、鎮静作用は非常に弱い
      DM使用注意(禁忌ではない)
      QT延長、高プロラクチン血症、肥満のリスクが少ない
      錐体外路症状(アカシジア以外)も少ない
    • ブレクスピプラゾール(レキサルティ):2018~
      ADのBPSDに初めて米国で保険適応を取得した抗精神病薬(日本でも効能効果追加申請中→2023年11月)
      • 適応:
        アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション
        攻撃的行動及び発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等
      • 臨床効果:
        統合失調症の陽性症状に対する効果と、陰性症状や認知機能障害、感情障害の改善が期待できる
        レキサルティは、エビリファイに比べるとやや鎮静作用が強いが抗精神病薬の中では穏やかな鎮静作用で、衝動性のコントロールに効果が期待
        できる
        エビリファイよりはドパミンをブロックする作用が強く、幻聴や妄想に対する効果が期待できる
      • 作用機序:
        レキサルティはドパミン部分作動薬として働き、ドパミンを適度な量に調整します。
        過剰なドパミンを抑えて、不足しているドパミンの働きを強めます。
        このため、ドパミンが過剰となって生じる幻聴や妄想の改善が期待できます。
        ドパミンをブロックしすぎないため、副作用も軽減されています。
        それだけでなくレキサルティは、セロトニンにも強力に作用します。
        抗うつ剤の作用ポイントであるセロトニン1A受容体に対して部分作動薬として働き、その働きを強めます。このため、気分安定薬としての効果も期待されています。
      • 用法用量:
        0.5㎎分1から開始(食後でも眠前でもOK)、1~2㎎で維持
        半減期50時間程度→血中濃度安定するまでに1~2週間ほどかかる
        肝臓の酵素であるCYP2D6とCYP3A4が中心となって分解
      • 副作用
        アカシジア
        糖代謝異常
        抗コリン作用はないため、高齢者にも使いやすい
アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションとは?

攻撃的な症状と非攻撃的な症状を含む。
国際老年精神医学会において、徘徊や同じ動作の反復などの活動亢進、攻撃的発言または攻撃的行動のうち少なくとも1つ以上の症状からなり、患者さんの日常生活、社会生活、人間関係のいずれかに支障を来した状態と定義されている。
これらの症状は、アルツハイマー型認知症の患者の約半数で認められ、介護者の負担を重くし、患者さん自身や家族、介護者の生活の質を低下させるとともに、患者さんが家族と同居できず介護施設へ入居せざるを得ない要因の一つとなっている。

  • https://sugiura-kokoro.com/clinic/yakubutsu-ryouhou05.html
オランザピンとクエチアピンの併用療法

処方例:ジプレキサ10㎎夕+セロクエル50㎎眠前

抗精神病薬の副作用

https://cocoromi-mental.jp/cocoromi-ms/psychiatry-medicine/brexpiprazole/about-brexpiprazole/
  • 精神神経系症状
    • 眠気、めまい、頭痛、不安、不眠などがあらわれる場合がある
  • 錐体外路症状(EPS)
    • パーキンソン症候群
    • アカシジア(じっとしておれず歩きたくなる、体や足を動かしたくなる、など)
    • ジストニア(筋緊張異常)
    • 遅発性ジスキネジア(「繰り返し唇をすぼめる」「舌を左右 に動かす」「口をもぐもぐさせる」「口を突き出す」「歯を食いしば っているような動作」「目を閉じるとなかなか開かずしわを寄せて いる」などの口周囲の症状が多いが、「勝手に手が動いてしま う」「足が動いてしまって歩きにくい」「手に力が入って抜けない」など身体の他のところにも出る)
  • 内分泌症状
    • 高プロラクチン血症、女性化乳房などがあらわれる場合がある
  • 悪性症候群
    • 頻度は非常に稀である
    • 他の原因がなく高熱が出る、手足が震える、身体のこわばり、話しづらい、よだれが出る、脈は速くなるなどの症状が同時に複数みられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
  • パーキンソン病患者への使用に関する注意
    • 本剤の作用により錐体外路症状を悪化させる場合があり、パーキンソン病患者などへの使用が原則できない薬剤もあるため十分な注意が必要となる
  • 自律神経症状
    • α1受容体とムスカリン受容体の遮断作用
不随意運動と錐体外路症状との違い

不随意運動
自分の意思とは無関係に身体に異常な動きが起こることで、 不随意運動は錐体外路の異常で生じることが多い。

錐体外路症状:
大前提として麻痺はないため、自動運動は可能。
多くの「運動症状」があり、これらは運動過少運動過多の2種類に大別される。
運動過少は、固縮・無動など、「パーキンソン病・パーキンソン症候群」でしばしば認められる。
運動過多は、振戦・舞踏運動・片側バリズム・アテトーゼ・ジストニアなど、しばしば「不随意運動」と定義される。振戦・固縮・無動は「パーキンソン病」の三大徴候であり、これらの症状を2つ以上有する場合には、これらの症状を総称して「パーキンソニズム」と定義する。

ドパミンの作用
https://cocoromi-mental.jp/cocoromi-ms/psychiatry-medicine/brexpiprazole/about-brexpiprazole/

不随意運動の対処法

可能であれば原因薬剤を極力中止する。薬剤中止が早期であるほど遅発性ジスキネジアの改善の可能性が高い。しかし、中止や減量については原疾患の症状の再発もしくは悪化の可能性を考慮し伸長に検討する必要がある。突然の中断により遅発性ジスキネジアを増悪させることもあるので注意が必要であり数週間から数カ月をかけて緩徐に薬剤を減量する必要がある。一方、離脱性のジスキネジアが起こることもあり注意を要する。

不眠症治療薬

第一選択→禁忌がなければロゼレム (抗酸化作用、免疫増強、抗がん作用)
第二選択→デエビゴ
(増量が可能)

第三選択→非ベンゾジアゼピン系(転倒リスクのない認知機能正常の高齢者)
第四選択→大人しいせん妄なら抗うつ薬(トラゾドン→半減期6-7時間、テトラミド)
      興奮の強いせん妄ならクエチアピン
生活習慣の改善や不眠の原因となる薬剤を抜くことも検討

  • 睡眠薬の分類
    • 脳の機能を低下させる睡眠薬→無理やり寝かせる=非生理的な睡眠、呼吸停止などのリスクあり
      BZ系、および、非BZ系の薬剤は中枢神経系のGABA-Aレセプターに作用する。γ-アミノ酪酸(GABA) は中枢神経系における抑制性神経伝達物質であり、GABAレセプターとしてはA、B、Cの3種類が知られている。GABA-Aレセプターは脳内だけでなく脊髄にも広範に存在するため、筋弛緩、運動障害を来しうる。
      • ①ベンゾジアゼピン系睡眠薬
      • ②非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
      • ③自然な眠気を強くする睡眠薬
  • 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の種類
    • アモバン、マイスリー、ルネスタの3種類、全て超短時間作用型で入眠障害に用いる
    • 依存・耐性・筋弛緩作用が少ないので、ベンゾジアゼピン系よりは安全だが、健忘が生じうる
    • 作用時間はルネスタ>アモバン>マイスリー
      マイスリー、アモバンは2,3時間の作用時間ですので入眠障害にしか用いませんがルネスタは4.5時間の効果があるので中途覚醒にも使用できる
    • 強さはマイスリー>アモバン>ルネスタ
    • マイスリー(ゾルピデム)
    • アモバン(ゾピクロン)
    • ルネスタ(エスゾピクロン):
      • 比較的せん妄が少ない
非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬
  • ③自然な眠気を強くする睡眠薬:
    →少数派、より自然な睡眠に近いため、依存が少なく入眠困難や中途覚醒なんでも使える
    • オレキシン受容体阻害薬
      • 睡眠麻痺(金縛り)が認められることがある
      • デエビゴは向精神薬として指定されておらず、処方日数の制限がない
        • ベルソムラ:
          中途覚醒によい、吸湿性のため一包化できない、クラリスと併用禁忌
        • デエビゴ:
          入眠障害によい
    • メラトニン受容体作動薬
      • ロゼレム:
        半減期2時間の超短時間作用型睡眠薬、本来は入眠障害が適応の薬のはずだが実際にはそこまで強力な入眠作用はなく、中途覚醒や早朝覚醒にむしろよいとされている
        ロゼレムは、体内時計のリズムを整える作用も期待でき、時差ぼけや交代勤務の時などに効果が期待できる

抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)

ソラナックス、ワイパックス、メイラックスを使いこなす
◎ロラゼパム(ワイパックス)がもっとも使用しやすい(CYP代謝を受けない、高齢者、肝障害も安全)

デパス6時間、レンドルミン7時間作用する、決して安易な睡眠薬ではない

不安が強い→ワイパックス>ソラナックス(作用時間はソラナックスが若干長い)
不眠が強い→その他の眠剤
依存性が強い→デパス>ワイパックス>ソラナックス(強力&短時間型でより依存性高い)

催眠作用の比較

BZの減量方法

長時間作用型→メイラックスやセルシン/ホリゾンに置換していく。作用時間が長いため、減薬しても体から抜けていくのがゆっくり。

オレキシン受容体拮抗薬

入眠・中途覚醒ともに有効で依存性や耐性が少ない睡眠剤

半減期は40~50時間→安定するまで数日を要する(デエビゴ>ベルソムラ)

不眠時屯用としても用いられ、ロゼレム(定時)との併用も可能

通常量はデエビゴ5㎎ 最大量10㎎ (イトラコナゾール、ベラパミル、エリスロマイシン、フルコナゾール 、クラリスロマイシン等との併用時はデエビゴ2.5㎎まで)

  • オレキシンは覚醒と睡眠を調節する神経伝達物質のひとつで、オレキシンが自身の受容体(オレキシン受容体)へ作用すると覚醒システムを活性化させ覚醒が維持される
  • 本剤は、オレキシン受容体へ阻害(拮抗)作用をあらわすことで、過剰に働いている覚醒システムを抑制し、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させることで、睡眠障害(不眠症)を改善する効果が期待できる
  • 本剤は服用開始から比較的早期に睡眠改善が期待できるとされ、また、反跳性不眠(睡眠薬を急に減量したり中断した場合に以前より強い不眠が出現すること)への懸念が少ないなどのメリットが考えられる
  • 薬理作用はデエビゴベルソムラと考えられている
  • 内服中は危険作業への従事はできない(車の運転等)
  • 薬剤の特徴
    • デエビゴ:2020年発売

メラトニン受容体作動薬

意外とめんどくさい薬→デエビゴの方が使い勝手がいい
併用禁忌あり(ルボックス、デプロメール)
精神疾患、睡眠薬前治療歴には推奨できない
併用注意も多い

  • ロゼレム(ラメルテオン):規格8㎎のみ(8mg錠:81.3円(ジェネリック:26.5円))
    • 向精神薬として指定されておらず、処方日数の制限がない
    • 効果のピーク:1時間ほど、半減期:2時間ほど→生理的な睡眠
    • 禁忌:
      • フルボキサミンマレイン酸塩(ルボックス、デプロメール)との併用禁忌
      • 重篤な肝障害での処方禁忌
    • 併用注意:
      • CYP1A2阻害:抗菌薬(ニューキノロン系)
      • CYP2C9阻害:抗真菌薬(フルコナゾールなど)
      • CYP3A4阻害:抗菌薬(マクロライド系)・抗真菌薬(ケトコナゾールなど)
      • CYP3A4誘導:抗結核薬(リファンピシンなど)
    • ベンゾジアゼピン系薬剤等他の不眠症治療薬による前治療歴がある患者における本剤の有効性、並びに精神疾患(統合失調症、うつ病等)の既往又は合併のある患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない
    • 用法用量:
      成人にはラメルテオンとして1回8mgを就寝前に経口投与(食事と同時摂取できない)
    • 他の睡眠薬からロゼレムに切り替える場合は、不眠がひどくなってしまうことに注意反跳性不眠
    • 投与開始2週間後を目処に入眠困難に対する有効性及び安全性を評価し、有用性が認められない場合には、投与中止を考慮し、漫然と投与しない
    • 臨床試験の副作用発現頻度(8mgを14日間投与後、16mgを14日間投与した群全体で12.2%(46/378例))
      主な副作用:傾眠が3.7%(14/46例)、頭痛が1.6%(6/46例)及びγ-グルタミルトランスフェラーゼ増加が0.8%(3/46例)
    • 参考:https://cocoromi-mental.jp/cocoromi-ms/psychiatry-medicine/ramelteon/about-ramelteon/#:~:text=%E3%83%AD%E3%82%BC%E3%83%AC%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E3%81%AF%E5%80%8B%E4%BA%BA,%E5%B0%91%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

トラゾドン(デジレル、レスリン)

抗コリン作用なし、抗ヒスタミン作用あり
興奮が強くないせん妄(ベッド上や部屋の中でゴソゴソして寝ないけど、騒いだりしない)に有効

  • 抗うつ薬のSARI(Serotonin2-Antagonist/Reuptake Inhibitor)に分類される
  • 作用機序:
    • ①セロトニンが働きかける部位である5-HT2受容体を遮断する作用
    • ②セロトニン再取り込み阻害作用によりセロトニン神経系を活性化させる作用
    • ①と②は「一見すると相反する2つの作用の総和」がトラゾドンの作用→作用メカニズムを直感的に理解するのは難しい薬
    • α1遮断作用あり→起立性低血圧、H1遮断作用あり→眠気を引き起こす
    • 抗コリン作用はない、短時間作用型で翌日への持ち越しがない
  • 処方例:
    • 定時薬として25~50㎎夕、不眠時に25㎎追加
    • トラゾドン無効時、ミアンセリン(テトラミド)へ変更可
      定時薬:ミアンセリン10~20㎎夕、不眠時にミアンセリン10㎎追加
  • PTSDにともなう不眠にトラゾドンを用いたところ、9割以上で入眠が改善し、その後も8割の患者において良好な睡眠が維持されたとする研究報告がある
  • 十分な効果が得られるための必要量は個人差が大きく、25mgから200mgと幅がある
  • 併用禁忌はサキナビルメシル酸塩
  • 副作用:
    • 眠気(4.3%)、めまい(3.6%)、口渇(2.9%)、便秘(1.8%)、QT延長

テトラミド(ミアンセリン)

  • 3環系ほどではないが、抗コリン作用あり→トラゾドンのほうが安全

セロクエル(クエチアピン)

興奮が強い過活動せん妄に良い適応
糖尿病には禁忌!

  • 強い鎮静作用、即効性がある
  • セロクエルは1.4時間ほどでピークになり、そこから3.4時間で半分の量になる
  • 抗幻覚・妄想作用はほとんどない→幻覚にはオランザピンやリスペリドンを使用する(リスペリドンは鎮静は弱い)
  • 短時間作用なので、持ち越しがない
  • 抗精神病薬にも関わらずパーキンソニズムが少なく、パーキンソン病にも使用可能(パーキンソン病治療ガイドライン2018で許容)
  • 投与量の目安:
    • 定時薬として25~50㎎夕、不眠時屯用で25㎎
    • 腎機能による減量不要

心療内科

意識障害とは

  • 意識清明:覚醒している状態で、さらに自分自身と周り(周囲・外界)を認識できていること
  • 意識障害:覚醒度あるいは自分自身と周りの認識のいずれかが障害されていること
  • 原因:脳自体の障害によって生じる(一次的な)ものと、脳以外の原因によって脳血流や代謝異常が発生し、二次的に脳の機能が低下するものがある

アパシー

  • 認知症
  • 脳梗塞
  • パーキンソン病
  • 頭部外傷

アパシーは、基底核、前頭葉の内側部、前帯状回などの障害が原因だと言われています。アパシーでは、これらの部位の血流低下を認めると報告されています。認知症に多いがそれ以外でも見られる。

うつは気分の低下で苦痛を伴う
アパシーは無関心で苦痛を伴わない
という違いがある

うつ病

せん妄delirium

①せん妄予防対策が重要、算定も可能→ハイリスク患者の選定とリスク因子の排除、非薬物療法を中心とした予防的ケア
病態はいまだ不明だが、脳内炎症やコリン系やセロトニン系に代表される神経伝達物質の伝達障害などが複合的に作用しあうことで生じると考えられている
③せん妄の発症要因は、準備因子、直接因子、促進因子の3つに分けて対策する
過活動型と低活動型、混合型に分類する

  • まずは鑑別が必要、アカシジアやレストレス・レッグズ症候群の鑑別が必要
  • せん妄の評価・診断ツール:CAMまたは3D-CAM、Nu-DESC、SQiDがあるが日本語訳がなく日本では認知されていない
  • せん妄の原因を考える→身体的要因と薬剤性要因
  • 薬剤性はパーキンソン病の治療薬,抗コリン作用を持つ薬剤,、抗ヒスタミン薬,H2 ブロッカー,Benzodiazepine 系薬剤,ステロイド製剤など
  • 治療:抗精神病薬、抗うつ薬(トラゾドン)などが使用される
     クエチアピン:半減期が短く、パーキンソニズムは少ない、糖尿病患者では禁忌
     ハロペリドール:注射薬もある、パーキンソン病では禁忌
     興奮が強いせん妄→リスペリドンやクエチアピンを用いる
     興奮が強くないせん妄→トラゾドンを用いる
  • それ以外の薬剤としては,メラトニンの予防投与が注目される(RCTでせん妄の出現頻度は,ラメルテオン(ロゼレム)群で 3%,プラセボ群で 32%)
  • せん妄予防および治療としてアセチルコリンエステラーゼ阻害薬を使用することは推奨されない(RCTで効果否定された)
  • 2011年 9月に厚生労働省から,Quetiapine・Haloperidol・Perospirone・Risperidone について,「器質性疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」に対しては適応外使用認めるとの通知が出ている
  • 睡眠覚醒リズムを整えるという意味で,抑肝散(2.5~5g)を夕食後から眠前に,あるいはロゼレム(ラメルテオン)4~8 mgを眠前に内服するのも有り得る(高齢者は血中メラトニン濃度が低下している)
  • https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_51_5_428.pdf
  • せん妄は突然に発現し, 持続期間は1週間以内から2ヶ月以上と報告されている。 典型例では10~12日程度で消退するが, 1ヶ月以上も持続する例が15%に達する。せん妄の回復は、発現後2週間目までは比較的良好だが, それ以後になると10%に低下し, 認知症へと移行する例もある
  • がん終末期領域では低活動型せん妄が多く、見過ごされていることも多い
  • アルコール離脱せん妄→ベンゾジアゼピンを使用する(その他のせん妄には禁忌)
  • アルコール離脱の場合には,離脱せん妄が出現する可能性が高いと判断された場合には,予防的に Benzadiazepine 系薬剤を使用することが必須であり,Diazepam15 mg日やLorazepam3 mg日などを投与し,眠前にも睡眠導入剤を投与する.また,Wernicke 脳症が少しでも疑われる場合には,ビタミン B1 の非経口的な投与を急いで行う.
  • せん妄の非薬物療法

せん妄予防と治療

過活動型せん妄

低活動型せん妄

高齢者の不眠にロゼレムはよい適応
  • ジェネリックが安くて使いやすい ロゼレム8㎎=81.3円(ジェネリックなら26.5円)
  • 高齢者は血中メラトニンレベルが低下している
  • ロゼレムは認知機能やせん妄への影響が少ない
  • 自然な眠気をもたらす
  • 効果が強すぎる場合は4㎎に減量する
  • 併用禁忌:抗うつ剤のデプロメール/ルボックス(一般名:フルボキサミン)
  • 併用注意:
    • CYP1A2阻害:抗菌薬(ニューキノロン系)
    • CYP2C9阻害:抗真菌薬(フルコナゾールなど)
    • CYP3A4阻害:抗菌薬(マクロライド系)・抗真菌薬(ケトコナゾールなど)
    • CYP3A4誘導:抗結核薬(リファンピシンなど)
せん妄と認知症
  • 老年期の実臨床では、せん妄と認知症との併存例が少なくない

発達障害

  • 小中学生の調査では、8.8%の有病率(クラスに3人程度)の発達障害がいる=全国に80万人
  • 診断基準は存在する者の、最終的には主治医の主観で診断がなされる
  • 診断するのが適切か否か、社会生活に支障ない場合は、あえて診断しなくてもいいかもしれない
  • 精神科医のなかでもとくに発達障害の専門医を受診する必要がある

レストレスレッグス症候群 RLS

夕方から夜間にかけて現れやすいことから睡眠障害の原因となる
アカシジア→抗精神病薬の副作用
レストレスレッグス症候群→病気

鉄欠乏の補正で改善することもある
第1選択→ドパミンアゴニスト
第2選択→リボトリール

  • 頻度:
    患者数は人口の2%~4%で、200万~400万人と推定され、このうち治療が必要なのは70万人ほど、女性にやや多い
  • 症状:
    夕方から深夜にかけて、下肢を中心として、「ムズムズする」「痛がゆい」「じっとしていると非常に不快」といった異常な感覚が出現してくる病気で足を動かすとこの異常感覚はすぐに消えるが、じっとしていると再び出現してくる。7~8割程度の患者に周期性四肢運動障害という別の病気を合併する頻度がとても高い。
  • 診断:以下の4つを満たせば診断
    • 脚を動かしたいという強い欲求が存在し、また通常その欲求が、不快な下肢の異常感覚に伴って生じる
    • 静かに横になったり座ったりしている状態で出現、増悪する
    • 歩いたり下肢を伸ばすなどの運動によって改善する
    • 日中より夕方・夜間に増強する
  • 原因:
    特発性(遺伝や体質など、80%と主流)と二次性(鉄欠乏性貧血、透析(末期腎不全)、糖尿病、リウマチ、パーキンソン病などほかの病気や妊娠などが原因で起こるもの)がある
  • 治療:
    睡眠薬は無効で、パーキンソン病に使う薬(ドパミンアゴニスト)が有効
    • 増悪因子:アルコール、喫煙、カフェインをやめる
    • 鉄欠乏の補正(フェリチン値が50ng/mL未満の場合)
    • 薬物療法
      • ガバペンエナカルビル(商品名レグテクト)
        中等度から重症例に使用される。抗けいれん薬のガバペンチンのプロドラッグで、欧米でも用いられている。
      • ロチゴチン(商品名ニュープロ、ニュープロパッチ)
        ドパミン作動性の経皮吸収型製剤であり、中等度から重症の本症候群に用いられる。同様の機序の経口の別のお薬も用いられることがある。

周期性四肢運動障害PLMD

周期性四肢運動(periodic limb movements:PLM)とは、睡眠中に主に下肢が周期的に短く動く現象。RLS患者においては約8割以上と高頻度に合併することが知られている。下肢の感覚症状に加えて就床すると下肢がぴくつく、入眠しかけると下肢がぴくついて眠れない、夜間にぴくついて覚醒すると訴える場合もあるが、多くの患者はPLMを自覚していない。PLMにより睡眠の障害を伴うものを周期性四肢運動障害(periodic limb movementdisorder:PLMD)という。

  • 睡眠中に四肢の異常運動が生じて睡眠が妨げられる病気
  • 睡眠中に片足あるいは両足の不随意運動(ピクピク)が周期的に起こるため、頻回に脳波上の覚醒反応を生じ、夜間の不眠や日中の過度の眠気が生じる
  • 治療はレストレスレッグ症候群と同様

身体表現性障害(→身体症状症に改定)

  • めまい、腹痛、しびれなど、体に何かの症状があるのに、内科などを受診して検査しても「異常はない」「精神的なものだ」などと言われる。身体症状症とは大雑把にいってこのような状態のことです。また、大した不調はないのに自分は重大な病気ではないかと思い悩む、従来、心気症といわれた病態や、身体的欠陥について過剰に悩む、従来、醜形恐怖といわれた病態もここに含まれます。つまり訴えは身体のことなのに、その原因は心理的なものと考えられる状態をこの病名のもとにひとくくりにしているわけです。精神的悩みが体の症状として表れたものだとしても、精神的悩みと体の症状との関係を客観的に確実に証明する手段がないのが現状です。よって診断は症状のわりに身体的な所見がないということから推測するしかありません。診断する医師のほうも確実なことをいえないこともあって、しばしば患者本人は身体症状が精神的な原因によるものと認めることができず、あちこちの医者で診察を受け、検査を受けることになります。
  • 症状は何でもあり:立てない、歩けない、目が見えないなど体の機能が麻痺する症状から、身体各所の痛みや、だるいとかクラクラするとか漠然とした身体的な訴えまで、考え得る身体的訴えはどのようなものであれ、精神的原因から生ずる可能性があるといっていいでしょう。他方、明らかな精神的原因があって、内視鏡検査で胃潰瘍があったとか、高血圧が認められたとか、身体に病的な変化が客観的に確認されるような場合は心身症と診断されます。数年にわたっていくつかの身体症状を訴えるもの(身体化障害)、運動や感覚の麻痺を訴えるもの(転換性障害、変換症、機能性神経症状症)、慢性的な痛みを訴えるもの(疼痛性障害)、重大な病気ではないかと強い不安を抱くもの(心気症、病気不安症)、外見上の欠陥にとらわれるもの(身体醜形性障害)などと分類されます。
DSM-5とは?

DSMとは、アメリカ精神医学会が作成する精神疾患の診断基準・診断分類の1つで、正式には「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」という。DSMの初版(DSM-I)は1952年に出版され、その後、数回にわたって改訂され最新のDSM-Vは、2013年に公開された。DSMは、もともとアメリカで使用されることを想定されて作られたが、現在は国際的な診断マニュアルとして、日本でも多くの病院で使われている。
DSM-IVまではローマ数字だったが、5版からアラビア数字となった。

不安障害(DSM-IV)→不安症群/不安障害群(DSM-5)

  • 不安障害は精神疾患のなかでももっとも一般的であり,発症年齢が10代と若く,その後の他の精神疾患の発症にも影響が大きい
  • DSM-5の構成上の大きな変更点として不安障害(DSM-IV)を“不安症群” “強迫症および関連症群” “心的外傷およびストレス因関連障害群”の3つの診断群に細分類した

不安症群いわゆる自律神経失調症

  • 「検査をしても異常がないのに、自律神経系のさまざまな症状を訴える状態」
  • この病名の欠点は、今のところ自律神経機能を正確に計測する方法がまだ無く診断基準もない
  • DSMにも記載されておらず、正しい診断名とは言えないが患者に説明するにはイメージしやすく便利な病名
  • DSM分類においても自律神経失調症に該当する診断名はあります。たとえば身体表現性障害の一部に分類される「身体化障害」という病名がありますが、この診断を下すためには「30歳未満にはじまり、痛み、胃腸症状、性的症状などが数年間続く」などの条件を満たす必要があります。30歳を過ぎて症状が始まった人にはこの病名が付けられないし、いくつかの症状が揃わないと除外されるため、自律神経失調症の患者さんで身体化障害の診断基準を満たす人は少数にとどまります。ではDSM分類で診断すると大半の自律神経失調症の患者さんはどんな病名に当てはまるかというと「鑑別不能型身体表現性障害」「その他の身体表現性障害」といったものになります。「あなたは鑑別不能型身体表現性障害です」とか「その他の身体表現性障害です」と言われたら、患者さんも困ると思います。こうした事情も自律神経失調症という病名を捨て難くさせているのでしょう。

以下に自律神経失調症の症状とされるものを挙げておきます。

〔頭〕 頭痛、頭重感、のぼせ
〔目、耳、口〕 疲れ目、耳鳴り、口渇 
〔喉〕 詰まり感、違和感
〔呼吸〕 息苦しさ、酸欠感
〔心臓・血管系〕 胸痛、胸部違和感、動悸、立ちくらみ
〔消化器〕 食思不振、吐き気、腹部膨満感、便秘、下痢
〔泌尿、生殖器〕 頻尿、残尿感、生理不順、陰部の痒み、インポテンツ
〔筋肉、関節、皮膚〕 肩こり、脱力感、多汗、無汗、皮膚の乾燥
〔手足〕 しびれ、冷え、だるさ
〔全身症状〕 不眠、疲労感、めまい、微熱、フラフラ感、ほてり
〔精神症状〕 不安感、イライラ、集中力低下、意欲低下、記憶力減退

認知症

→老年医学のペー

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