なぜ日本人のがんは増え続けるのか

日本人の2人に1人ががんと診断される現代・・・
私もあなたも、いつがんと宣告されても全くおかしくないのです。
ほんの20年前、大学生だった私は3人に1人と教わっていましたから、驚異的な速度でがんが増殖していると言えます。
どうしてなのでしょう?

答えは簡単。
だ~れも予防に目を向けていないからです。それにはきちんとした理由があります。
病院:大事な患者さんが減ってしまうと収益が減ってしまうから。
外科医:患者さんが減ると自分の手術が減ってしまう。第一、外来は忙しくてそんな時間もない。
製薬会社:抗がん剤産業は今や重要な収入源なので予防になんて興味なし。
厚労省:健康日本21という健康増進政策に取り組んでいますがそもそも誰も知らないんじゃ・・ ・
私たち:日々の生活に追われて健康まで気にする余裕がない、病気は他人事・・・
加えて 超高齢化時代を迎えた現代日本は、高齢者のがんが増えるのもやむを得ないという風潮。
このように、日本人のがんが増え続けるのにはちゃんと理由がありました。


では先進国アメリカでも日本同様がんが増え続けているのでしょうか?
いいえ、あまり知られていないのですがアメリカでは25年連続でがん患者が減少しているのだそうです。
アメリカではがんなどの現代病が増え続けて国家の財政を圧迫していることが1970年代から問題視され、当時のフォード大統領が国民の栄養と病気の関係を徹底的に調査させた結果、がんを減らすには食事の内容を変えなくてはいけない、という結論に至りました。
そこでFDA(アメリカ食品医薬品局)や米国国立がん研究所(NCI)が、健康のための数値目標を設定したり、がん予防に効果があると言われる食べ物の作用の研究を進めるようになりました。
その国家プロジェクトにより増え続けていたがんの死亡数が減少に転じたというのです。

ここでアメリカと日本の平均寿命を比較してみましょう。
アメリカの平均寿命は78歳、日本は83歳と日本が大きく上回っています。
その原因としてアメリカには以下の問題があります。

  • 肥満の人が多い→心疾患による死亡率が高い
  • 高額な医療費、格差社会→十分な医療が受けられない
  • 薬物乱用・アルコール依存による死亡が多い

がんの死亡率抑制に成功したアメリカもまだまだ問題は山積みのようですね。


ここで厚労省の推進する健康日本21の中身をのぞいてみましょう(以下、厚労省HPより)。

3.現状と目標
(1)がん死亡・罹患者数の減少のためのアプローチ
がんの危険因子のうち特に重要なものは、1)喫煙、2)食物等である。
Wynderらの米国における発がん因子の寄与度の推計によると、環境性発がん因子が男女とも約80%を占めており、これらの環境性因子のうち食物の占める割合が最も大きく、男性40%以上、女性60%以上に達するとしている。
食物についで寄与度が大きい因子として喫煙があげられている。
Dollらの推計でも、発がん因子のうち食物の寄与度が最も大きく35%、たばこが30%を占めると報告している。
これまでの疫学的・実験的研究から発がん危険因子の寄与度の推計が行われている。
アメリカのNCIでは食生活の改善により約8%のがんが予防でき、喫煙対策の推進で約8%のがんが予防可能であると推計している。

ここまで研究結果がでているというのに、ホームページにこっそり掲げるだけで国民や医療機関への啓もう活動はしないんですね。
理由としてはおそらくこうです。

・国が大々的に禁煙を進めればたばこ産業が廃れてしまう
・食事についても特定の生産者への風評被害を危惧して規制や注意喚起まで踏み切れない
  (過去には狂牛病問題や東日本大震災での風評被害がありました・・・)

といったところでしょう。
しかしがんが増え続ける現状、毎年膨れ上がる医療費への取り組みにしては国としてあまりに無策と責められかねない・・・
それで事実をこっそりとホームページに公開し、厚労省はちゃんと「健康日本21」という政策を推進していましたよ、国民のみなさんホームページ見ていないんですか?
と、答弁できるようになっています。


話が長くなったので整理しましょう。

  • アメリカではがんが減少し、日本だけがんがどんどん増え続けているという事実
  • がんにならないためには、国や病院に頼るのではなく自分のからだは自分で守る

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この記事を書いた人

たけしのアバター たけし アラフォー外科医

40歳を過ぎ、人生に焦りを感じ始める
自分がすべきことを探求した結果、健康に関する情報発信を始める
妻の経営する弁当屋のホームページも担当

将来の夢は自分のクリニックをひらき元気な高齢者を増やすこと

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