外科医は抗がん剤を自分に投与するか

厚労省の統計によれば、2017年にがんで死亡した人は373,334人だそうです。
2016年に新たにがんと診断された人は995,131人で、100万人を突破するのも時間の問題です。
最も死亡者数の多いがんは1位:肺がん、2位:大腸がん、3位:胃がんの順となっています。

今日は「医者は自分ががんになったときに医者の勧める抗がん剤治療を行うのか?」
ということについて私の私見を述べさせていただきます。
がんの中には血液腫瘍のように抗がん剤だけで完全に治ることが期待できるがんもありますが、今回は胃がんや大腸がんを想定しています。
胃がんや大腸がんに対する抗がん剤の治療成績は医学の進歩により少しずつ改善していることは事実ですが、それでも数か月の予後延長効果(平たく言うと数か月寿命が延びる)にとどまります。胃がんや大腸がんを根本的に消滅させてしまう抗がん剤は残念ながら存在しません。

たとえばステージIV胃がん(手術が不可能な状態の胃がん)の寿命は抗がん剤を行わない場合3-4か月、抗がん剤を行った場合約8‐9か月程度です。
この残りの寿命が8か月なのか、それ以上に延長できるのかというところで、新しい抗がん剤治療が有効かそうでないかということを議論しているのです。
そもそも、抗がん剤で胃がんを克服しようなんて、医者は考えていません。

大腸がんも同様です。
ステージIV大腸がんに対する抗がん剤治療は胃がんに比べれば若干の治療効果が期待できるのですが、それでも2‐3年というのが一般的な寿命とされています。


いずれのがんであっても抗がん剤治療の間、からだは抗がん剤でボロボロにされてしまいます。
残された時間を有意義に使い切ることができたかどうか、副作用のせいで残りわずかな時間をつらく過ごしてしまったのではなかったか、私は自分の患者さんに抗がん剤治療を勧めておきながら、そう考えずにはいられません。
というのも、もし自分や自分の家族が胃がんや大腸がんになったとしたらおそらく抗がん剤は使わないからです。
治る見込みがない治療をどうして受ける気になるでしょうか。
ましてからだをボロボロにさせてまで抗がん剤を続け、副作用に苦しみながら本当に充足した時間を過ごせるでしょうか。
抗がん剤を行うと、多くの患者さんがからだもだるいし、吐き気や嘔吐、下痢、食欲不振、味覚の変化(味がしない)などを訴えます。
副作用を軽減する薬を処方したりするのですが、当然それにも限界があります。

患者さんには「これが世界の標準治療だからやりましょう」と言って抗がん剤治療を勧めます。
医者という立場上、病院では患者さんに「抗がん剤は効かないのでゲルソン療法をやりましょう」とは絶対に言えません。
私ならゲルソン療法を迷わず選択するのに・・・







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この記事を書いた人

たけしのアバター たけし アラフォー外科医

40歳を過ぎ、人生に焦りを感じ始める
自分がすべきことを探求した結果、健康に関する情報発信を始める
妻の経営する弁当屋のホームページも担当

将来の夢は自分のクリニックをひらき元気な高齢者を増やすこと

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