初めての入院、手術、通院・・・ それはある日突然訪れます。
「ああ、こんなときどうしたらいいんだろう・・・」と困惑される場面も多々あると思います。
そんな場面でどうすればよいかを一緒に考えてみましょう。
シリーズ第1回目は「セカンドオピニオンや転院したいときどうすればよいか」についてです。
私は以前、がんセンターにほど近い私立病院に勤務していたことがありました。
がんと診断された患者さんに手術の説明をするのが我々外科医の仕事なのですが、 がんセンターへの通院圏内であるという立地条件から「がんセンターに紹介してほしい」という依頼が年間に数名ほどあり、いずれの患者さんもご希望通りがんセンターに紹介させていただきました。
がんと診断された病院で手術を受けなければならない義務や義理はまったくありません。
自分の未来を左右するかもしれない重要な選択ですから、納得のいく病院を選定すべきです。
自分で調べてどこの病院に行ったらいいかわからなかったら、その担当医に相談するのも一つの方法だと思います。
なにしろ外科医はその道の専門ですから地域の外科事情には精通しているはずです。
例えばこんな感じです。
A病院で膵がんと診断された70歳女性。どこで手術を受けるか悩んでいます。
「A病院で診断してもらったんだからこのままA病院で手術してもらうべきなのかしら、でも病院も古いし近所で評判も悪いし、となりのB病院の方が大きかったわね、少し遠くなるけどがんセンターや大学病院もあるし、どこで手術を受けたらいいのかしら・・・」
自分でホームページを調べて結論を出すのもいいのですが、ここは勇気を出してA病院の外来担当医に質問してみることにしました。
「先生、わたしはどこの病院で手術を受けるべきでしょうか?」
「そうですね、一生に一度あるかないかの大切な決断ですから悩むのも当然ですよね。もちろん当院で手術をすることも可能ですが、膵がんの当院の手術件数は年間2-3件です。隣のB病院は専門施設ですので年間20件以上の手術をこなしてるはずです。がんセンターや大学病院もいいのですが術後に抗がん剤などを行うことも考えると病院は自宅から近い方が望ましいので、B病院で手術をお受けになってはいかがでしょうか?ただ一般的に大病院になればなるほど手術待ちの患者さんが多く手術が1か月以上先になる可能性があることはご理解いただく必要があるでしょう。」
というアドバイスをもらえる可能性もあります。
また、もし担当医があなたの手術に自信があるのであれば実際の手術成績を詳細に教えてくれるはずです。
患者さんに手術などの重要な病状説明をする場合、外科医は具体的な数字を用いて説明することが多いです(例えば手術件数や手術時間、合併症発生率、入院期間、5年生存率など)が、手術説明に実際の数字が出てこない場合はあまり経験がないと見て間違いはないでしょう(病院ホームページで検索する場合は、このあたりに注目してください)。
十分な病状説明/手術説明には最低でも20~30分以上は必要となりますので、極端に説明が短い場合には質問をするか、もう一度詳しく説明をしてもらうようにして理解しないまま同意するようなことがないようにするべきです(ただし、緊急性が高く手術説明に十分な時間をかけることができない状況もあります)。
それ以前の問題として相談に乗る気がなかったり、病状説明やこちらの質問をめんどくさがったり、返事を急いたりイラついたりするような担当医からは早々に見切りをつけるべきでしょう。
担当医に直接言い出しづらい場合は、一旦話を持ち帰ったうえで後日、総合受付や外来窓口で転院を希望する旨を伝えれば、担当医と直接面会せずとも紹介状を作成してもらえる可能性が高いです。
その際の質問の仕方として
「先生ご自身ならどこで手術を受けますか?」
「先生ご自身ならその抗がん剤治療を受けますか?緩和治療を選ばれますか?」
などと聞くのも一つの方法です。
いかがでしたでしょうか?
病院選定は非常に重要です。
医師の説明や診療内容に満足できなければ転院を希望してよいのです。
加えて医師も一人の人間ですから、あなたと相性が合うとも限りません。
そんなときも担当医の変更や転院を希望してよいのです。
あなたやご家族が、迷ったり我慢する必要はありません。
ただし、病院同士の情報網にも限界がありますので「実際に転院してみたら思っていた状況とは違った」という可能性があるということは、ご理解いただきたいと思います。
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