「首相、国民の命より経済の維持が大事ですか?」

4月7日、ようやく緊急事態宣言が発令されました。

「これで新型コロナウイルス対策が法的強制力を得て格段に進むだろう。医療崩壊も回避できる。」とほっとしたのも束の間、緊急会見で発表された緊急事態宣言の骨子は海外の対応とは大きく異なるものでした。

結局いままでどおり自粛の延長で新たな政策に乏しい

緊急事態宣言は、文字通り「非常に逼迫した緊急を要する事態に出す宣言」のはずです。
日本医師会や東京都医師会が腰の重い政府に先立ち、相次いで「医療的緊急事態宣言」を発表して医療現場の危機的状況を訴えましたが、肝心の日本政府にはその切実な訴えが届いていないようです。
世界の惨憺たる現状を目の当たりにしたにもかかわらず本日の会見で発表されたのは、「緊急事態宣言は6都道府県と限定的発令、日本は海外のようなロックダウンを行わない、休業要請や休業手当の対象は現在検討中、公共交通機関は通常通り運航する、国民には自粛をお願いする」という内容のものでした。
政府は日本においても1か月後には感染者数は8万人を突破すると試算していながら、オーバーシュートによる医療崩壊が目前まで迫っているという緊急事態にもかかわらず、即効性に乏しく強制力の伴わない今回の宣言は、いかにも日本政府らしい中途半端な対応としか思えません。
こんな甘い対応で感染の終息に必要とされる「接触機会の70~80%削減」を達成することができるのでしょうか?

たしかに自粛は必要ですし、国民1人1人の心掛けが重要なのは当然ですが、舵取り役の政府にあまりにも危機感が欠如しているのではないでしょうか。
安倍首相が「我々は8年前に東日本大震災を経験した」という話題に触れる場面がありましたが、逆に私たちが政府に問いたい。
当時の民主党政権の後手後手政策により、汚染エリアの拡大など甚大な被害を招いた教訓からあなたがたは何を学んだのですか?と。

安倍政権の会見を聞いていると、「日本政府は、もとより本気で国民を救うつもりがないのではないか」と猜疑的になってしまいそうです。
日本国内で8万人もの感染者の発生を想定していながら、国民への自粛要請のみで迅速な休業要請や休業手当の範囲を明言しない日本政府の方針は「高齢者などの弱者は新型コロナウイルスにより淘汰されても仕方ない」「医療従事者は疲弊したり院内感染しても仕方ない」「わずかな人命よりも経済活動への影響を最小限にすることが重要だ」と言っているようなものです。
日本のいままでの死亡率から計算して、仮に8万人の感染者が発生した場合、少なく見積もっても全体の3~4%にあたる約3000人は死亡することになります。
都市部での感染爆発が起これば、院内感染により我々医療従事者にも多数の犠牲者が出るでしょう。
経済的困窮や疲弊がさらなる死者を招く恐れもあり、医療崩壊が深刻化すれば十分な医療を受けられないまま死亡する人が急増し、海外のように1万人規模の死者が発生する事態にもなりかねません。

連日のように、SNSを通じて都内病院に勤務する医療従事者が逼迫した都内の医療現場の声を拡散しています。
医療現場の第一線に立ち、自らの命をかけて24時間休まず治療を行っている者たちの声にもっと耳を傾けてほしいと切に願います。

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この記事を書いた人

たけしのアバター たけし アラフォー外科医

40歳を過ぎ、人生に焦りを感じ始める
自分がすべきことを探求した結果、健康に関する情報発信を始める
妻の経営する弁当屋のホームページも担当

将来の夢は自分のクリニックをひらき元気な高齢者を増やすこと

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