COVID-19の蔓延による食糧危機問題

予想はしていましたが、新型コロナウィルスの感染拡大が世界の食料市場にも影響を及ぼし始めていると言います。
新型コロナウィルスのパンデミックが長期間にわたって蔓延すれば、農業生産への直接的影響と移民労働者不足に加え、港湾での荷役作業遅延、トラック運転手の敬遠などから輸出規制の動きが重なり、世界同時多発で食糧危機が起きる可能性が現実味を帯びてきました。

そもそも、食料自給率が4割に満たない日本。
なぜこんなにも日本の自給率は低下してしまったのでしょうか。
自給率ほぼ100%だった江戸時代の職業割合を見てみると、百姓が人口の85%を占めていたといいます。
一方、町人(現代で言えば商店経営)はわずか5%という割合でした。
昨今の国勢調査によると、現代の職業の割合は以下のようになっています。
2015年(平成27年)の農業、林業の割合はというと、、、なんと人口のわずか3.5%ではないですか!
しかも年々、減少傾向をたどっているのがグラフからも明らかです。
機械化により個人当たりの生産性が飛躍的に向上しているとはいえ、3.5人の農家で100人分の野菜すべてを生産するのは現実的ではないように思われます。
実際、日本において近年野菜の輸入量は漸増傾向にあり、2005年では約300万トンと国内需要量約1,500万トンの21%を占めるに至っています。
その中でもとくに、生鮮野菜が100万トン強で増加傾向がもっとも強いようです。
主な輸入先は中国からの輸入量が圧倒的に多く、全体の56.9%(165.4万トン、2005年)を占めます。

では、肝心の国内野菜の生産量について考えてみましょう。
1982年(昭和57年)の1,678万トン以降減少が続き、2005年(平成27年)では1,248万トンとなっています。
これは1人1年当たりの消費量の減少による需要減と野菜輸入増、生産者の高齢化による規模縮小等が複合的に生じた結果と考えられています。
そんな日本ですから、新型コロナウイルスによる世界的な食糧危機問題が発生した場合には、十分な食糧が確保できずに餓死する人も出てくるかもしれません。

食糧危機に関する問題は、実はそれだけでは済まないかもしれません。
ほとんど知られていませんが、日本で流通している種のほぼすべては、じつはアフリカなどの海外農場で生産されているのです。
私も畑を始めて自分で種を買うようになって、はじめてその事実を知りました。
日本の食糧自給率は40%以下ですが、種のほぼすべてを輸入に頼っている現状は、非常に危うい状況であると言えます。
パンデミックによりアフリカやアジアの国々が深刻な被害を被り、海外からの食糧輸入、外国人労働者の入国制限、種の輸入がストップした場合、我々の食卓だけでなく日本の農業そのものが大変な打撃を受けることになりかねません。

数千年に及ぶ長い戦争の歴史を乗り越え、平和を手にした現代社会に世界の存亡危機が訪れるかもしれないなんて、いったい誰が予想していたでしょう。
どんな状況であっても医療、食糧、エネルギーに関わる機能だけは死守しなければなりません。
日本の食糧需給率をわずかばかりでも改善できるよう、自らも生産者となり、情報発信もしていきたいと考えています。

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この記事を書いた人

たけしのアバター たけし アラフォー外科医

40歳を過ぎ、人生に焦りを感じ始める
自分がすべきことを探求した結果、健康に関する情報発信を始める
妻の経営する弁当屋のホームページも担当

将来の夢は自分のクリニックをひらき元気な高齢者を増やすこと

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