新型コロナウイルスについてわかってきたこと その1:感染経路と感染力

2020年は、全世界が新型コロナウイルスに翻弄され続けた1年でした。
そして我々人類は、これからも新型コロナウイルスとの生存競争を続けなければならない宿命にあります。
1年前にはまったく未知の存在であった新型コロナウイルスですが、この1年間でわかってきた事実がたくさんあります。
今回からシリーズで新型コロナウイルスに関する知見をカテゴリー別にみなさんと一緒に知識を整理していきたいと思います。

第1回目は、感染経路と感染力についてです

感染経路については、接触感染(手などに付着したウイルスが口、鼻、目から侵入)、飛沫感染(咳やくしゃみ、会話などで空中に浮遊した飛沫を吸い込むことで侵入)が基本的な感染経路として指摘されています。
これは例年大流行するインフルエンザや風邪のウイルスとまったく同様の感染経路です。
ただし、一定条件下ではエアロゾル感染(空気感染ともいわれ、空気中の飛沫よりさらに小さな微粒子に潜むウイルスを吸い込むことで感染する、接触や飛沫よりさらに多くの感染を引き起こす危険がある)の可能性も指摘されています(WHO,米CDC発表)が、根拠となるデータに乏しく現時点では確定的ではないとされています。
日本においても、3密(密閉・密集・密接)の環境では、エアロゾル感染(空気感染)が生じる可能性が高いということが指摘されており、感染リスクが高い場面であり、回避するよう警鐘を鳴らしています。
令和2年10月23日には、新型コロナウイルス感染症対策分科会が以下のような『感染リスクの高い場面』についての提言を発表しています。

新型コロナウイルス感染症対策分科会の提言
感染リスクが高まる『5つの場面』

そして新型コロナウイルスの感染防止が厄介な理由の一つに、『症状が出る前から、他の人に感染させることがある』、また『無症状の感染者からも他の人に感染させる』という事実があることが研究の結果わかってきました。
新型コロナウイルスに感染した人が他の人に感染させてしまう可能性がある期間は、発症の2日前から発症後7~10日間程度とされています。
この期間内に感染者と接触した人は、感染の危険性があるということです。


そういった観点から新型コロナウイルスの感染力は、一般的な風邪ウイルスよりもかなり強く封じ込めが困難であると考えられています。

実際に第3波を迎えている日本の最新の実行再生産数(1を超えると感染拡大、1を下回ると収束)は、政府の『勝負の3週間』の呼びかけ後(2020年12月16日)も多くの地域で1を下回らず、日本全体の重症者数も日々増加の一途をたどり現在も感染拡大に歯止めがかからない状況が続いているのです。
もっとも、日本における第3波感染拡大の背景には、冬という感染が蔓延しやすい季節的要因や日本国民特有の『慣れ』や『周りの空気』というのも多分に影響していると思われます。

そして2020年12月31日までの日本の感染者は23万人を越えました。
世界の感染者はなんと8195万人、死者は178万人(ジョンスホプキンス大学集計)と報告されています。
新型コロナウイルスが体内に侵入する力が、SARSコロナウイルスのそれよりも10から20倍強いという報告もあり、SARSコロナウイルスが大きな流行を起こさず終息し、新型コロナウイルスが大流行を起こしているのは、このことを反映したものとも考えられています。


1年前の今日、こんな数字を誰が予想していたでしょうか。
夢なら早く冷めてほしい、そう願っているのは私だけではないでしょう。
しかし、残念ながらこれは現実なのです。
受け止め立ち向かうしかありません。
そのためには、新型コロナウイルスを正しく理解し、正しく恐れることが重要です。

第2回は症状・後遺症について一緒に考えましょう。

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この記事を書いた人

たけしのアバター たけし アラフォー外科医

40歳を過ぎ、人生に焦りを感じ始める
自分がすべきことを探求した結果、健康に関する情報発信を始める
妻の経営する弁当屋のホームページも担当

将来の夢は自分のクリニックをひらき元気な高齢者を増やすこと

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