通称「サイレントキラー」=骨粗しょう症のお話

今日は骨粗しょう症のお話です。

女性のあなた、この記事だけは素通りせずにぜひ読んでください。
骨粗しょう症はご存じの通り、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気ですね。骨もあなたの美しいお肌同様、新陳代謝によって作られては壊され、壊されては作られ、を繰り返しながらおよそ2年半をかけて全身すべての骨が新しい骨に作り替えられているそうです。骨粗しょう症はそのバランスが崩れてしまい、壊れる>作るに傾いた結果として骨がボロボロになってしまう病気です。

その骨粗しょう症は、女性ホルモンの影響で閉経後の女性で急激に増加するのは有名ですね。その数はなんと、60歳代女性の3人に1人、70歳代では2人に1人が骨粗しょう症と推定されているそうです。日本人全体では推定1280万人が骨粗しょう症であると考えられていますが、実際に医療機関で診断および治療されているのはたった200万人なんだそうです。
残りの1000万人近くの方は診断や治療を受けずにいるんだそうです。また、骨粗しょう症はやせている女性に多いので、そういう方はとくに注意が必要です。

70歳代の2人に1人かー。たしかに多いわね。
でも骨折しやすくなるだけの病気でしょ?

それがそうでもないんですよ。
専門医のあいだではサイレントキラーなんて呼び方をされているんです。

骨粗しょう症になると、とくに腕(手首付近)や背骨(圧迫骨折)、大腿骨近位部(股関節)が折れやすくなります。
たとえば大腿骨骨折を例にあげますと、大腿骨近位部骨折に対する手術だけみても近年急速に増加しており現在は年間20万件ほど施行されておりますが、2030年には年間26万件に達すると推測されています。仮に60歳で骨粗しょう症と診断された場合、90歳になるまでの30年間は骨粗しょう症を患うわけですが、なんとその30年間には20万件×30年=600万人以上が手術を受ける羽目になると計算できます。あなたはこの600万人に入らない自信はおありでしょうか?
さらにここからが重要です、大腿骨骨折手術後1年の死亡率は10~30%とも言われているんです。これは、脳梗塞や心筋梗塞後の患者さんと同程度の死亡率です。つまり骨粗しょう症になって骨折にまで至ると命取りになりかねないため、怖い病気と認識すべきということです。

骨粗しょう症とは
  • 異常に骨がもろくなった状態のこと
  • 70歳代の2人に1人が骨粗しょう症
  • 日本全体で推定1000万人のかくれ骨粗しょう症患者がいる
  • 骨粗しょう症の患者さんが骨折すると致命的となることも多い

思っていたイメージとかなり違う~
私もさっそく調べてもらおうかしら

1000万人ものかくれ骨粗しょう症患者さんがいるんです。
しかも骨折に至れば1年以内に死んでしまうかもしれないんです。
そうなる前の予防と早期発見が重要です。

では、骨粗しょう症の検査はどうすればいいのでしょうか。検査は非常に簡単で専用の機械で骨強度を測定するだけなのですが、中でもDEXA(デキサ)法が一番制度が高くて推奨されています。検査に痛みはなく、検査時間は10分~15分程度、費用も比較的低額でDEXA法であれば自費診療で3700円、3割負担で1100円程度のようです。診断基準は、 若年成人平均値の 70%未満を骨粗しょう症と診断するとされています。

特に女性は症状がなくても、40歳以上になったら定期的に骨密度を測ることをお勧めします。 骨量は短期間に大きく減少することは稀ですので5ごとに確認しておきましょう。自治体によっては、40歳から5年ごとに骨粗しょう症の集団検診が無料で受けられます(健康増進法によって検診が推奨されています)ので利用するのもよいでしょう。

予防についても非常に重要です。
骨粗鬆症を予防するためには、カルシウムの摂取と日光浴に加えて、ウォーキングや筋力トレーニングなど骨に刺激が加わる運動が推奨されます。喫煙には、抗エストロゲン作用と腸管でのカルシウム吸収抑制作用、尿中への排泄促進作用があり、現在の喫煙者は非喫煙者に比して骨折のリスクは 1.26 倍,大腿骨近位部骨折のリスクは 1.84 倍とされています。またアルコールを多量に摂取すると腸管でのカルシウム吸収抑制作用と尿中への排泄促進作用により骨粗鬆症のリスクを高めると言われており1 日 エタノール 24 ~30g 以上のアルコール摂取は骨粗鬆症性骨折のリスクを 1.38 倍、大腿骨近位部骨折のリスクを 1.68 倍に高めるそうです。

骨粗しょう症の予防に重要なもの
  • 運動:水泳よりも重力がかかる運動がより効果的(ウォーキングや筋トレなど)
  • 日光浴:骨の合成に必要なビタミンDが増える
  • 栄養:カルシウムや亜鉛(日本人の半数以上が亜鉛不足)、ビタミンD、ビタミンK
  • 喫煙、過度の飲酒をやめる:いずれも骨粗しょう症の危険因子となる

カルシウムは、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、野菜類や海藻などに多く含まれ、とくに牛乳や乳製品は、他の食品に比べてカルシウムの吸収率が高いうえに、1回の摂取量も多いので、効率よくカルシウムがとれるとされています。

しかし、これは大きな誤りです。牛乳が安全で健康的な食品と考えているのはもはや日本だけです。欧米を中心に牛乳神話は崩壊し、むしろさけなければならない食品として認識されるようになりつつあります。これについては、別の記事で掘り下げます。ここでは、カルシウム摂取に推奨される食品として小魚と大豆をあげておきましょう。

亜鉛はレバー、青魚、貝類(とくにカキ)、大豆、その他野菜やきのこに豊富に含まれています。最近注目されている、日本人にも多い亜鉛不足についてもべつの記事で掲載しますのでご参考にしてください。亜鉛欠乏は、血液検査で簡単にわかりますので骨粗しょう症の場合には同時に検査されることをお勧めします。

ビタミンKは納豆1日1パック、緑黄色野菜は片手いっぱいを1日3回で充足できるといわれています。

ビタミンDの供給源のおよそ80%は日光(食事からは20%)と言われています。太陽光のUVによって皮膚で生成され、冬なら1日30分~1時間、夏なら15分程度の日光浴が効果的です。シミ・そばかすが気になる方は顔以外の部分で日光浴されることをお勧めします。ビタミンDは、サプリメントでの摂取も有効ですが、あくまで食事摂取ができない場合の応急処置として利用すべきです。

また、体重減少、月経不順や閉経による低エストロゲンは骨粗しょう症に影響しますので、はやめの対策が重要です。
その他、胃切除術後、特定の薬剤内服中、ステロイド剤の服用、月経困難症の偽閉経療法、甲状腺疾患、なども骨密度を減少させ骨粗しょう症になるリスクが高くなります。

いかがでしたか?
今日は世界中で増え続ける肥満についてお話させていただきました。
以上、長文になりましたがさいごまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

たけしのアバター たけし アラフォー外科医

40歳を過ぎ、人生に焦りを感じ始める
自分がすべきことを探求した結果、健康に関する情報発信を始める
妻の経営する弁当屋のホームページも担当

将来の夢は自分のクリニックをひらき元気な高齢者を増やすこと

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