検診と健診、人間ドックの違いは?

今日は健康診断に関する記事です。
みなさんは検診と健診の違いをご存じでしょうか?
ついでに人間ドックや最近話題のアンチエイジング・ドックについても一緒に勉強していきましょう。

検診

特定の病気を発見するために行う検査のことを指し、病気を早期発見し、早期治療につなげることを目的としています。中でも代表的な検診は「がん検診」です。市町村から郵送で届く「〇〇がん検診」が有名ですね。

健診(=健康診断)

その名の通り、健康をチェックすることで、さまざまな検査項目から健康状態を確認し、病気を予防することを目的としています。職場の健診、学校健診はこちらですね。年1回の職場健診(定期健康診断)では、おもに肥満や高血圧、高脂血症、喫煙習慣などの生活習慣病を早期発見し治療につなげることを目的としています。なお、職場健診は労働安全衛生法第66条に基づき、事業者は労働者に対して健康診断を実施することが義務づけられており、労働者も健康診断を受ける義務があります。血液尿検査の必須項目は以下の通り。

  1. 貧血検査(血色素量および赤血球数)
  2. 肝機能検査(AST、ALTおよびGTP)
  3. 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
  4. 血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c、やむを得ない場合は随時血糖(食後3.5時間以上経過))

2008年度からは、メタボリックシンドロームを減少させるため、特定健康診査(特定健診)がスタートしました。通常の健康診断は、病気の発見を目的としたものですが、特定健診はメタボリックシンドロームに注目し、糖尿病など生活習慣病予防のための保健指導(特定保健指導)を必要とする人を抽出するために行われています。

〈 特定健診とは? 〉
  • 対象者:40歳以上75歳未満の医療保険加入者(被保険者・被扶養者)
  • 実施者:医療保険者(組合管掌健康保険、政府管掌健康保険、船員保険、共済組合、国民健康保険)
  • 目的:メタボリックシンドロームの発見と予防
  • 健診項目:質問票(服薬歴、喫煙歴等)、身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)、血圧測定、理学的検査(身体診察) 、検尿(尿糖、尿蛋白)、血液検査(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、空腹時血糖またはHbA1c、AST、ALT、GTP)、心電図 、眼底検査 、貧血検査(赤血球、血色素量、ヘマトクリット値)
  • 受診方法:医療保険者から、対象者に受診券(保健指導は「利用券」)や受診案内が届く(郵送や手渡し等)ので、届き次第、受診券(利用券)と被保険者証を持って、医療保険者の案内する実施場所に行く。
  • 費用:主に医療保険者が負担する(一部自己負担あり)
〈 メタボリックシンドロームとは? 〉

診断基準:腹囲(臍周囲)が男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れること。2005年に日本内科学会などの8つの医学系の学会が合同してメタボリックシンドロームの診断基準を策定した。

リスク:メタボリックシンドロームの人は、2型糖尿病になるリスクは約3倍、心血管疾患をおこしたりそれにより死亡するリスクは約3倍になるといわれている。また、非アルコール性脂肪肝、高尿酸血症、腎臓病、睡眠時無呼吸症候群といった病気にもつながる危険がある。

メタボリックシンドロームの診断基準(厚労省ホームページ)
人間ドック

人間ドックには法的な義務はなく、個人の意志によって受診するものです。上記との大きな違いは「検査項目の多さ」になります。胃カメラや大腸カメラ、CT、MRI、PETなどの最新画像検査項目が自由に選択できます。人間ドックは健康診断だけではわからない病気の早期発見が目的となります。個人の意思で検査項目を選んで行うものなので、基本的に自費になります。

アンチエイジング・ドック

人間ドックの進化系で、老化も病気ととらえ老化を早期発見・予防するための検査。実年齢と検査結果から導かれた年齢の差を評価する。血管、ホルモン、筋肉、骨、感覚器などの老化度をチェックしたり、老化の原因となる酸化ストレスや糖化ストレス(AGEs)などを調べる。

私のおすすめ検査は胃がん検診の胃カメラと大腸がん検診の便潜血検査です。 まず、胃がん検診でバリウムを飲むのはやめましょう。バリウムではピロリ菌がいるかどうかまでわかりませんし、意外にも合併症が起こることがあります。最初からぜひ胃カメラを受けるべきです。胃カメラではピロリ菌感染の有無もわかります。ピロリ菌ががいなければ、あなたが将来胃がんになる可能性はとても低くなります。もしピロリ菌がいる場合には、除菌療法をすることで将来の胃癌が予防できます。最近では、経鼻内視鏡と言って鼻から入れる細いカメラもありますし、軽い睡眠薬で眠っているうちに検査してくれる病院も増えてきました。 また、大腸がんは日本人で最も多いがんとなりましたので、便潜血検査による検診を積極的に受けましょう。大腸がんがなくても大腸ポリープ(将来的に大腸がんになる場合もあります)が見つかる方はたくさんいらっしゃいます。私自身も便潜血検査は毎年かかさず受けています。

 〈 労働安全衛生法第66条とは? 〉

定期健康診断とは、事業者に対し、事業者が雇用したパートを含む週30時間以上(正規従業員の労働時間4分の3以上)働く労働者に対し医師による健康診断を義務づけている制度です。 また、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、『定期健康診断結果報告書』を所轄労働基準監督署長に報告する必要があります。検査項目は、最小限これだけはやりなさいという項目が決まっていて、その他はオプション(胃カメラやPSA検査など)で受けることができる場合もあります。

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この記事を書いた人

たけしのアバター たけし アラフォー外科医

40歳を過ぎ、人生に焦りを感じ始める
自分がすべきことを探求した結果、健康に関する情報発信を始める
妻の経営する弁当屋のホームページも担当

将来の夢は自分のクリニックをひらき元気な高齢者を増やすこと

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