運動習慣のある人の割合は増えている/減っている?

最近、ランニングやサイクリングする人を見かけることが多いように感じます。駅前や大通り沿いのスポーツクラブやフィットネスクラブも見かける機会が増えてきましたね。
それでは実際に運動習慣のある人は増えているのでしょうか?

厚生労働省が毎年実施している「国民健康・栄養調査報告(令和元年度/2019年)=コロナ禍前」によると、運動習慣のある人(注)の割合は、男性が33.4%、女性が25.1%という結果でした。
「健康日本21」での運動習慣者の増加目標値(男性39%、女性35%:基準値となる平成9年度国民栄養調査の+10%)には残念ながら届きませんが、25年前の平成9年度国民栄養調査時(男性28.6%、女性24.6%)に比べ男性でより向上しています。

  注)「運動習慣のある人」の定義は、1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している人。

国民健康・栄養調査とは?

国民健康・栄養調査は、健康増進法(平成14年法律第103号)に基づき、国民の身体の状況、栄養摂取量及び生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得るために、厚生労働省が毎年実施している調査。調査対象人数は無作為抽出による約18,000人/年で保健所が実施する。

運動習慣のある人の割合(20歳以上)

<厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」/令和元年>

年代別にみると、男女とも70歳以上が、男性42.7%、女性35.9%と最も高くなっています。一番少ないのは20代~40代の女性という結果でした。働く世代の若い女性は妊娠・出産・育児や家事も負担することが多く、自分の自由時間を確保することが男性に比べて難しいのかもしれません。そもそも最近の女性はボディーイメージ的にやせ体形の人が多く、運動の必要性を感じにくいのかもしれません。

また経時的に見てみると、この10年間では運動習慣のある女性の割合がわずかに減少傾向のようです(調査対象が無作為抽出で毎年変わるので絶対的な評価ではありませんが)。令和2年以降のデータはまだ公表されていないようですが、ポストコロナ時代の影響が色濃く反映されることが容易に予想できます(すでに各国よりポストコロナ時代における座位時間の延長がさまざまな健康障害に影響を与えているというデータがでています)。

運動習慣のある人の割合の年次推移(20歳以上)


<厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」/令和元年>

それでは、男女とも最も運動習慣のある人の割合が高い高齢者においては、運動習慣の割合は増えているのでしょうか?
下のデータを見ると、75歳以上の運動習慣者の割合は男女とも増加傾向(男性で+4.1ポイント、女性で+8.3ポイント)ですが、65~74歳の運動習慣者の割合は男女とも減少傾向(男性で-10.5ポイント、女性で-7.6ポイント)でした。
ここ10年で運動習慣者の割合は、後期高齢者を除いて全体的にはむしろ減少傾向といえるでしょう。

65歳以上の運動習慣者の年次推移

内閣府ホームページより


近年、マスメディアでの宣伝やスポーツジムなど施設の拡充も相まって広まりつつあると思われた運動習慣ですが、日本全体としてはなかなか思うようには増えていないようです。運動として時間を確保することが難しくても、日常動作のなか(通勤や家事など)で、乗り物を使わず歩行時間を長くしたり階段を利用するなどの工夫により運動不足を解消する効果が期待できます。

健康で長生きできるか、病気がちで病院通いの老後を送るかは今日からのあなた次第です。自分のできることから始めましょう。

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この記事を書いた人

たけしのアバター たけし アラフォー外科医

40歳を過ぎ、人生に焦りを感じ始める
自分がすべきことを探求した結果、健康に関する情報発信を始める
妻の経営する弁当屋のホームページも担当

将来の夢は自分のクリニックをひらき元気な高齢者を増やすこと

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