総評 8/10点 高野和明氏 ファンが待ち焦がれた11年ぶりの長編小説!!!
ふだんはノンフィクションばかり読むのでフィクション小説を読んだのは実に数年ぶりになります。
それも一番大好きな作家のひとり高野和明氏のなんと!11年ぶりの長編小説ですから、書店で見つけたときの喜びと言ったら言葉では表現できません。
で、さっそく読みました。1日で読了した感想は、、、
「うん、読んでよかった・・・でもちょっとものたりないかな・・・」
やはり、高野氏代表作である『ジェノサイド』のインパクトがあまりにも大きく(10点満点ですが15点をつけてもいいです)、高野氏の新作小説に対する期待値が高すぎるのだと思います。本書はもちろんおもしろいし、おすすめできるし、読んでよかったと思います。高野氏の小説の特徴は、ストーリー性がすばらしいだけではなく、小説のなかの設定が徹底した事前調査に基づいているため、その道の専門家しか知りえない知識を読者にわかりやすく伝えてくれるところだと思います。本書でも、鉄道業界をはじめマスコミや出版社、水商売、警察や政治の世界がリアルに描写されていて(本当の現実社会とどこまで整合性があるかまでは、素人のためわかりかねますが)、小説を読むことで自分の知ることのできない世界をあたかも自分自身のリアルな経験として体験できたような気分になれました。
が、しかし、読了した瞬間に、ものたりなさを感じている自分がいるのもまた事実。
こうゆうアートな世界で有名になるのも大変だけど、有名になってからも(世間の期待にこたえ続けるってことは)大変だなー。
自分が普通の人間でよかった、そう思えた1冊でした。
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